2020 Fiscal Year Research-status Report
International collaboration research on surface modification material for transplantation of cells, organs and artificial organs
Project/Area Number |
18KK0305
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
寺村 裕治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10365421)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 祐貴 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40402789) [Withdrawn]
深澤 今日子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 学術支援専門職員 (50776672)
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90193341)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 臓器移植 / 人工臓器 / 生体適合性材料 / 表面修飾 / MPC / PEG |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞・臓器移植のみならず人工弁、人工血管などの人工臓器の埋め込みをした際に起きる自然免疫系の活性化は、未だ解決されていない共通の問題である。補体 系や凝固因子系の活性化や血小板粘着から始まる一連の免疫反応が惹起されると、細胞・臓器移植では虚血再灌流障害が起き、細胞や臓器が傷害を受けるため機 能が消失する。また、人工臓器では全身への深刻な副作用が起き、レシピエントが重篤な症状に繋がる。これまでに申請者らのグループでは、細胞移植や臓器移 植、人工臓器の埋め込みにおける免疫反応制御を目指して、様々な表面修飾剤の研究に取り組んできた。本国際共同研究では、スウェーデンのウプサラ大学と共同して、医療として定着しつつある腎臓移植における細胞表面修飾剤と人工心臓に臨床応用されている表面改質材に焦点を絞り、臨床で使用できる新規表面処理 材料技術の研究・開発を行うことを目的としている。特に、ヒト血液中での免疫反応を詳細に調べる。あわせて、ブタによる大動物試験も行い、早期の臨床応用 を目指す。 本年度では、ポリエチレングリコール結合脂質を利用した細胞膜を修飾できる材料に着目し、抗凝固活性を付与するためにヘパリンとの結合体の合成とその機能評価を行なった。化学処理したヘパリンをリン脂質に化学結合し、そのヘパリンの結合数は、1つから最大で8個まで変化させた。ヘパリンの活性を評価するために、アンチトンビン結合能とFactor Xa阻害試験を行い、そのヘパリンとしての機能が保持されていることが分かった。このヘパリン結合脂質で修飾した間葉系幹細胞を用いて、ヒト血液中で評価したところ、血小板凝集の抑制が見られた。また、凝固系のパラメーターであるTatの濃度も低いことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19による影響で、ウプサラ大学への訪問はできなかったが、オンラインでのビデオ会議を通して、週に1-2回のディスカッションを行っており、概ね、順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度も、引き続き、COVID-19の影響があるため、ウプサラ大学への訪問は難しいかもしれないが、基本的には、2020年度同様に、ビデオ会議を通して研究進捗の情報共有を行う。
|
Causes of Carryover |
2020年度では、COVID-19の影響により、ウプサラ大学への海外渡航が無くなったことで、当初予定使用額よりも減額が生じた。 2021年度も、ウプサラ大学を含む海外渡航(海外学会への参加など)の目処はつかないが、本国際共同研究が進展するように、国内での研究遂行にのみ研究費を使用することとする。
|