2021 Fiscal Year Research-status Report
In vivo mass culture system of human iPS cell-derived hepatocytes
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18KK0307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真下 知士 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80397554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 一人 東京大学, 医科学研究所, 講師 (50709813)
武石 一樹 九州大学, 大学病院, 特別教員 (50733713)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト肝細胞 / iPS細胞 / 免疫不全ラット / ゲノム編集 / 肝移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞からヒト肝細胞(iPS-Heps)を大量に作成する方法ができれば、肝移植におけるドナー不足や拒絶反応等の問題を解決できる。我々は、これまでピッツバーグ大学により作成されたiPS-Heps培養プロトコールを利用して、ゲノム編集により作製した免疫不全ラットの肝臓に細胞移植することで、世界で初めて動物肝内でヒトiPS-Heps細胞の大量培養に成功した。本研究では、ラット肝臓内から大量に増殖したiPS-Hepsを100%回収することを目的として、自殺遺伝子としてのCas9を導入した免疫不全ラットやSirpa遺伝子、Kit遺伝子などをノックインした超重症免疫不全ラットを作製する。全てのラット肝細胞を細胞死させることで、ヒトiPS-Heps細胞のみを免疫不全ラットの生体内で生成する方法を確立する。本研究により、肝不全に対する革新的新規治療法を開発するだけでなく、創薬でのヒト肝細胞の大量利用を実現する。 本研究では、Bioreactorとしてラット肝臓内でiPS-Hepsを成熟させ、ヒト肝細胞を大量に作り出す方法の確立を目指している。これまでの研究成果は、論文として投稿するための準備を開始している。関連する研究内容は、論文図書5件うち国際共著2件、招待講演7件うち国際学会1件で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表研究者真下と分担研究者吉見の東京大学医科学研究所移転に伴い、大阪大学でゲノム編集技術CRISPR-Cas9により作製したIl2rg,Rag2ダブルノックアウトラットの繁殖維持コロニーを移動した。東京大学において、SPF飼育室内でバイオバブルによるIl2rg,Rag2ダブルノックアウトラットコロニーの繁殖維持に成功した。我々が開発したゲノム編集による効率的なノックイン法Combi-CRISPRにより、肝臓特異的発現iCasp9遺伝子のノックインラットを作製し、Il2rg,Rag2ダブルノックアウトラットと交配したが、自殺遺伝子iCasp9の発現誘導は確認されなかった。九州大学にIl2rg,Rag2ダブルノックアウトラットを輸送して、九州大学においてヒト肝細胞の移植実験を行い、ヒトアルブミン発現、生着率の確認を行っている。 過去2年間において、新型コロナ感染拡大による米国渡航制限や国内移動が困難なこともあり、研究の進捗に影響を与えている。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオバブル飼育環境において、引き続きIl2rg,Rag2ダブルノックアウトラットコロニーの繁殖維持を行う。またCas9ノックインラットおよびSirpaノックイン、Kitノックインラットの作製を行う。最終的に、Cas9ノックインラット等と重度免疫不全ラットを交配して、Bioreactorとして肝細胞欠失重度免疫不全ラット系統の確立を行う。九州大学においては、ヒト肝細胞およびヒトiPS細胞から分化培養しヒトiPS-Heps細胞を確立する。分化後の細胞のHNF4α、FOXA2、アルブミン等の発現量を免疫染色およびqPCRを用いて評価し、iPS-Hepsの分化能を確認する。 世界的な新型コロナ対応が落ち着いた段階で、東京大学および九州大学の研究分担者が実際にピッツバーグ大学に滞在して、iPS-Hepsの作成方法、分化能評価方法等についての研究を推進する。完成したIl2rg Rag2 Cas9免疫不全ラットの肝臓内にヒトiPS-Hepsを経門脈的に細胞移植することで、ヒト肝細胞を大量に作り出す方法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
平成30年度、令和1年度は研究計画に従って、おおむね順調に進展していた。しかしながら、令和2年度、令和3年度は新型コロナ感染拡大による米国渡航制限や国内移動が困難になったことから、令和4年度に引き続き研究を実施する。新型コロナ対応が落ち着いた段階で共同研究者の国内外の異動、肝細胞欠失重度免疫不全ラット系統の確立、繁殖コロニーの拡大、ヒト肝細胞移植実験などの研究の活性化が予測されるため、旅費および消耗品等の費用を計上する。
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