2019 Fiscal Year Research-status Report
Non-diffusive transport study in detached plasmas under ITER-like parameter conditions
Project/Area Number |
18KK0410
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 宏彦 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (60609981)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 非拡散的輸送 / 非接触プラズマ / Magnum-PSI / 揺動解析 / 静電プローブ / 高速カメラ / 再結合フロント / ダイバータプラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究では、ITERのダイバータ領域に匹敵するプラズマパラメータ・磁場強度を有する直線型超電導装置Magnum-PSI(オランダ、DIFFER研究所)を用いて揺動データセットを取得し、非拡散的輸送の実験条件依存性を調査する。パラメータ領域や磁場構造の異なる国内複数装置(NAGDIS-II, GAMMA 10/PDX, LHD)で得られた結果と比較することで、ITERや原型炉といった将来装置における輸送特性を外挿評価することを目的とする。 初年度である2019年度は、名古屋大学から静電プローブ計測システム一式(掃引機構、プローブヘッド、A/D変換機等)をDIFFER研究所へと輸送した。初期実験ではプローブへの熱負荷を低減するため、主に低磁場条件(~0.4T)における中性ガス圧スキャンを行った。このとき、高速カメラによる発光信号計測ならびに終端板におけるイオン飽和電流もしくは浮遊電位計測を合わせて実施した。 特に非接触ヘリウムプラズマ放電時の再結合フロント近傍において、周辺領域へのプラズマ放出の増大と、プラズマ構造内の周方向電場の存在、周方向モード数m=0とm=1の揺動間の捕食者-被食者様の増幅・減衰関係が見い出され、これらの結果の多くはNAGDIS-IIを用いた先行研究と類似している。一方、軽水素プラズマではヘリウム放電と異なる傾向が観測され、今後詳細な解析を実施予定である。 上記に加え、比較対象の直線型装置NAGDIS-IIにおける大容量信号計測ならびに解析から、非拡散的輸送発生時におけるプラズマパラメータの時空間挙動を明らかにし、この結果を学術論文にまとめ発表した。また本研究では、欧州滞在の利点を活かして、3次元輸送コードEMC3-EIRENEを用いた研究を平行して行っている。JT-60SAへの同コード適用の結果について学術論文にまとめ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日本から輸送した静電プローブ計測システム一式をMagnum-PSIにセットアップし、限られた実験時間の中で、種々の実験条件における揺動データセットを効率的に取得した。特にヘリウム放電では、放出されたプラズマ構造の内部電場を観測できたことに加え、広域多地点計測された高速カメラ信号と合わせて結果を解釈することで、m=0と1の捕食者-被食者様の関係を抽出することに成功した。この他、得られた知見を学術論文にまとめ投稿を行った(2020年6月)。NAGDIS-IIと類似した特徴が多数見られつつも、一部は異なる特性もあり、それぞれの装置で得られた知見について相補的に解釈を進める予定である。 また軽水素放電では、ヘリウム放電と異なる特徴が観測されたことから、今後詳細解析を行うことで、輸送増大機構の解明に繋がるものと考えられる。 COVID-19の影響により、2020年3月に予定していたオランダ滞在は中止となったが、それまでの限られた滞在期間の中で、共同研究者との打ち合わせ、実験計画の策定、実験の実施までを遂行し、その後の解析~論文執筆の中で多くの知見を得ることができた。 以上のことから、2019年度における総合評価を(1)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は9月に実験の実施を予定していたが、COVID-19の影響により見通しが立たない状況となっている。2019年度に取得したデータの解析を続けるとともに、水素放電については比較対象となるNAGDIS-IIの計測データが乏しいため、これを拡充する。 オランダ滞在が可能となった後には、強磁場条件におけるデータ取得を進める。このとき、静電プローブはプラズマ中心から離れた位置に固定し、高速カメラ信号からプラズマ柱内部の挙動を推定する。加えて、2019年度実験ではガス種に対する輸送特性の違いが見られたことから、水素・ヘリウム以外のガス種(アルゴン等)を用いた放電および揺動計測の実施を検討している。
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