2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞内亜鉛とTGF-βシグナル制御による好酸球性副鼻腔炎の新規治療法の開発
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18KK0444
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 正宣 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70455658)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 耳鼻咽喉科学 / アレルギー学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は低亜鉛が線維芽細胞(Fibroblast)のコラーゲン産生に与える影響を検討した。線維芽細胞用の低亜鉛培地を作成し、線維芽細胞を培養した。コラーゲン産生をqPCR法とELISA法で評価するため、細胞数や低亜鉛での培養日数などの最適化を行った。まず、Zinquinと蛍光抗体免疫染色法を用いて、レーザー偏光顕微鏡(Laser Confocal micrscopy)で線維芽細胞内の亜鉛を可視化し、低亜鉛培地で線維芽細胞内の亜鉛が減少することを確認した。次に、低亜鉛培地で培養した線維芽細胞でコラーゲンの発現をmRNAレベル、タンパク質レベルで評価した。qPCR法、ELISA法ともに、コラーゲンの発現は低下していることが判明した。 また鼻ポリープ由来の組織検体でTMA(Tissue micro array)を作成した。Sirius red染色でコラーゲンを染色し、NanoZoomerとImage Jで発現量を半定量した。その結果、鼻ポリープ由来の粘膜では、健常例の正常粘膜に比べると、コラーゲンの発現が有意に低下していることがわかった。 これまでに報告されている、鼻ポリープでの組織内の亜鉛低下を考えると、今回の結果は、組織内亜鉛の低下によるコラーゲンの生合成障害が鼻ポリープの病態に影響している可能性を示唆するものと考えられる。 今後、この低亜鉛とコラーゲンの低下が鼻ポリープの発生にどのように影響するかを検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに低亜鉛環境が線維芽細胞におけるコラーゲン発現低下を引き起こすことを明らかにしている。また、Tissue micro arrayの作成も順調に進行しており、予備実験では蛍光免疫染色法によるタンパク質の可視化に成功している。また鼻粘膜上皮細胞用の低亜鉛培地の作成にも成功しており、上皮細胞を用いた今後の実験へと発展が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
低亜鉛による鼻粘膜上皮細胞でのサイトカイン産生への影響を検討する。また、Tissue micro arrayを完成させ、各種タンパク質発現と組織内亜鉛の相関を検討する。臨床検体を用いて、血液、組織、鼻汁中の亜鉛、タンパク質発現の検討を行い、副鼻腔炎における低亜鉛が何に起因するかを明らかにする。 これらの研究結果は国内外の学会で発表し、海外専門誌で公表する予定である。
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Research Products
(2 results)