2021 Fiscal Year Research-status Report
Epigenetic analysis of regulating bone and mineral metabolism under rare disease in orthognathic lesion
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18KK0464
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井澤 俊 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (30380017)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 破骨細胞 / エピゲノム / RANKL / 顎顔面領域稀少性遺伝子疾患 / 骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は昨年度渡米し、米国セントルイスにあるワシントン大学のSteven Teitelbaum教授との国際共同研究にてヘルパーT細胞の分化に重要なPOZ-ZF転写制御因子ThPOKがNFATc1の転写と機能を介して破骨細胞形成を制御することを明らかにした。LRF(Zbtb7a)とThPOK(Zbtb7b)は発生、分化、がん化に関与する転写抑制のPOK(BTB/POZとKruppel)ファミリーに属していることがすでに報告されている。LRFはNFATc1発現を制御することによって破骨細胞分化を調節するものの、ThPOKの既に知られている機能としてはT細胞系譜の振り分けの転写制御が代表的なものとして広く知られている。T細胞の分化に関わるThPOK分子が破骨細胞形成あるいは機能に影響しているかどうかは未だ明らかでないことが現状である。今回の研究代表者による国際共同研究の成果として、骨髄由来マクロファージにおけるThPOK発現は破骨細胞分化因子であるRANKL刺激に伴い減弱するものの、ThPOK発現の欠損は破骨細胞分化には影響しないことが明らかとなった。一方で、マクロファージへの過剰なThPOK発現は破骨細胞形成を抑制することが判明した。過度のThPOK発現はNFATc1プロモーターに結合することでその転写を抑制するという破骨細胞抑制効果のあるシグナル伝達経路が示唆された。過剰なThPOKによる破骨細胞形成の抑制が減弱するNFATc1発現と関係しているにも関わらず、破骨細胞形成能はNFATc1の過剰発現によってはレスキューされないことが明らかとなった。以上の結果からThPOKはNFATc1の転写を抑制し、その結果として破骨細胞活性を抑制していることが示唆された。研究成果は米国骨代謝学会のオンライン版機関誌であるJBMR Plus誌の論文においてセカンドオーサーとして報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に国際共同研究を遂行するにあたって受け入れいただいた米国セントルイスにあるワシントン大学医学部のSteven L. Teitelbaum教授、Wei Zou先生とは現在も本国際共同研究のための打ち合わせをメール会議など定期的に実施している。破骨細胞におけるシングルセルやRNA-seq、ChIPアッセイなどエピジェネティクス研究の手法について引き続きWei Zou先生からオンラインやメール会議で指導を受けている。さらに、Steven L. Teitelbaum 教授と本国際共同研究の成果やデータについて議論を重ね、現在論文の推敲を実施中である。Covid-19の感染拡大により米国骨代謝学会(ASBMR 2021 Annual Meeting 2021年10月1日~10月4日まで開催)には情報収集のためオンラインで参加した。また、今年度はオミクロン株の流行があり渡米が困難であったものの、Steven L. Teitelbaum教授、Wei Zou先生の承認のもとワシントン大学医学部骨代謝研究部門のオンラインセミナーを積極的に受講している。国際共同研究の成果は米国骨代謝学会のオンライン版機関誌であるJBMR Plus誌の論文においてセカンドオーサーとして報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、米国骨代謝学会のオンライン版機関誌であるJBMR Plus誌に発表することができたThPOKはT細胞系譜の振り分けの代表的な分子として広く知られていることから、今後の研究の推進方策として、オステオイムノロジー全体の構図を考える上で破骨細胞やマクロファージなどといった血球系由来の免疫細胞のみならず、T細胞の分化に関連したエピゲノム分子機構にも注目することを研究目標とする。また、今回明らかにすることができたThPOK分子を中心として、今後は創薬や臨床診断マーカー探索を本国際共同研究のアウトプットにすることを今後の研究の推進方策とする。現在のところ、以上の実験内容を遂行する上ではハード、ソフト両面ともに問題ないと考える。
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Research Products
(12 results)