2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of strategy to design anticancer drug based on ceRNA network
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18KT0016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 道昭 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00596538)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
固形癌を形成する癌細胞は、低酸素応答を通じて生存を高めている。したがって、低酸素、特に慢性的低酸素という環境に対して、癌細胞がどのように適応しているかを分子レベルおよびシステムレベルで解明することは大変重要である。 昨年度までに確立したRNA-RBP相互作用を検出するためのenhanced RNA interactome cpature (eRIC)をつかって、低酸素処理時の癌細胞における転写後遺伝子発現制御機構の解明を目指した。20%酸素あるいは1%酸素下で72時間処理したHCT116細胞をつかって、常酸素特異的および低酸素特異的RNA-RBP相互作用を担うRBP候補を多数得た。バイオインフォマティックス解析から、低酸素特異的RBP-RNA相互作用として、代謝系酵素をコードするmRNAを見いだした。さらに、これらのmRNAが慢性的低酸素条件(1%酸素、72時間)下ではRNA安定化していることを見いだした。つぎに、バイオインフォマティックス解析によって、慢性的低酸素条件でRNA安定化するメカニズムを調べた。その結果、安定化されるmRNAに共通して結合するRNA結合タンパク質を複数見いだした。これらRNA結合タンパク質のなかには、RNA分解因子として知られる分子が含まれていた。以上の結果から、慢性的低酸素によって、RNA安定化を通じた転写後制御という細胞内RNA-RBP相互作用ネットワーク変化が代謝関連遺伝子群の発現を制御していることが初めて示された。 癌細胞の生理学や生存戦略を理解するためには、慢性的低酸素応答の理解は非常に重要である。今回の発見は、癌細胞における遺伝子発現をRNA-RBP相互作用ネットワークの観点から理解するという新しい視点を提供できた。
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Research Products
(3 results)