2018 Fiscal Year Research-status Report
Orality of sign languages and its applicability to contribution to Asian Deaf communities
Project/Area Number |
18KT0034
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
斉藤 くるみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30225700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末森 明夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20357255)
森 壮也 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (20450463)
西田 昌之 日本社会事業大学, 付置研究所, 研究員 (40636809)
亀山 恵理子 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (50598208)
相原 朋枝 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (60334562)
鈴木 久美 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60751013)
渡部 淳 日本大学, 文理学部, 教授 (80366541)
菱沼 幹男 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (80406347)
槻舘 尚武 山梨英和大学, 人間文化学部, 講師 (80512475)
大野 ロベルト 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 講師 (80728915)
田村 真広 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (90271725)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | オラリティ / 手話 / リスクコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はオラリティとリテラシーという概念があるが故に蔑視されてきた手話について、この二概念がどのように成り立っているのか、あるいは手話を言語と認める科学的根拠が揃った今、この二概念は再考すべきなのか考察するものである。目的として、まず第一にオラリティとリテラシーという概念が手話にあてはまることを明らかにする、第二にオラリティをモダリティと混同せず、見直す。第三に手話のオラリティ研究の成果をろうコミュニティ及びろう国際社会に提供し貢献する。以上が研究の目的であるが、最終目標として複数の国の手話のIntelligibilityを調べ、その中から手話のIconicity、手話独特のCL(classifier)が、防災・減災に使える共通手話になり得ると考え、リスクコミュニケーションを構築することを目指す。 初年度は共同研究者それぞれが、フィリピン、韓国、インドネシア、タイ等で手話の収集や災害の状況を調べ始めた。代表者はフィリピンのレイテ島とサマル島で被災したろう者の手話を収集した。これらをフィリピン手話と日本手話のバイリンガルのろう者の助けを借りて分析した。被災体験をしたろう者を集めて、手話で話してもらい録画したところ、災害時の状況を話す際には、CLが多用されることがわかった。中には経済的理由で成人するまで教育を受けられなかったろう者もいた。その場合は解読不明の手話もあったが、必ずしもIconicityの高い、ジェスチャーのようなものではなかった。このフィリピンの手話のデータを基準として次年度から他のアジアの手話との比較を行い、共通のものを収集してリスクコミュニケーションの構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者それぞれが、フィリピン、韓国、インドネシア、タイ等でろうコミュニティにアプローチをした。被災地では災害に関する情報や手話の収集を目指している。代表者はフィリピンのレイテ島とサマル島で被災したろう者の手話を十分に収集した。フィリピン手話と日本手話のバイリンガルのろう者の助けを借りてこれらの解読も行った。 被災体験をしたろう者を集めて、手話で話してもらい録画し、災害時の状況を表現した発話を分析し、学校教育を受け始めた時期や、ろうコミュニティーとのつながりなどバックグラウンドと照らし合わせた。フィリピン手話の規則から逸脱したものが必ずしもIconicityの高い、ジェスチャーのようなものではないこと等、発見があった。このデータは今後の他の手話分析の基礎となる成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
音声言語を対象とすれば、書記化するかどうかでオラリティとリテラシーに分かれるように見えるが、この二つは、文字をもたない民族の言語や、そもそも視覚言語である手話の場合、何の意味もないのか、ということを探りたい。言語であることが必然的にオラリティからリタラシーの変遷をとげるとすれば、手話のその変遷を示すことはできると考える。 二年目以降は、収集した手話を、オラリティーとリテラシーの方向性で観察し、教育との関係を調べる。教育機関で固定される言語をリタラシーと仮定して、音声言語のリタラシーと同様の性質をもつことを証明したい。
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Causes of Carryover |
分担研究者の内、大野・相原・西田・末森は2019年度海外出張を予定しており、繰り越すことにした。
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Research Products
(6 results)