2018 Fiscal Year Research-status Report
シングルからマルチロータシステムの採用による風車システムの発電・構造性能の強化
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18KT0062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邉 康一 九州大学, エネルギー研究教育機構, 准教授 (30811799)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | マルチローターシステム / レンズ風車 / クラスタ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
風力エネルギーの有効利用を促進させるために新しいコンセプトの風力発電システムの開発を行った。全世界的に風車は大型化を続けてきたが、ブレードの長大化に伴い、風車開発や社会受容性の問題が深刻化している。これらの問題にブレイクスルーを与えるためには、シングル(単基)の大型風車をさらに大型化させようとする発想を転換し、世界最高レベルの性能をもつ風車を多数集めてクラスタ構造とすることが有効である。 複数の風車を並列配置するマルチロータシステムに、世界最高レベルの発電効率と静粛性、防雷性、防バードストライク性を併せ持つ、風レンズ(レンズ風車)を採用すると、レンズ風車は流体力学的な相互作用により、集合させることによって互いに出力性能を高めあうことがわかっている。本研究では、マルチロータシステムのレンズ風車の空力的干渉現象を明らかにし、その最適配置を提案することを目的に、風洞実験と数値計算を実施した。 大型風洞を用いたモデル試験を実施し、風車を主流方向にずらして配置するスタガード配置で得られる効果を2基、3基、5基のマルチロータ―システムで検証した。その結果、マルチロータ―システム全体では、従来の並列(同一平面)配置と同じ出力増加効果を維持しながら、それぞれの風車の出力、抗力に差が生み出すことができることがわかった。このメカニズムを明らかにするために、スタガード配置でのマルチロータシステムの流れの数値解析を風洞実験と並行で行った。その結果、この現象は上流側の風車を避けるようにして流れた風が下流側の風車に当たることで、下流側の風車に流入する風がより加速し、下流側風車の出力が増加することで実現されていることを確かめた。 スタガード配置がもつこの特徴は、マルチローター風車全体の構造を設計検討する際、各風車が風から受ける抵抗力を自由に設計者が調整できるという点で非常に有益である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の実施計画は、レンズ風車でのマルチロータシステムを検討し、その最適配置を検討することであった。この目標の下、大型風洞を用いたモデル試験を実施し、風車を主流方向にずらして配置するスタガード配置の効果を2基、3基、5基の風車で検証した。大型風洞を用いたモデル試験を実施し、風車を主流方向にずらして配置するスタガード配置で得られる効果を2基、3基、5基のマルチロータ―システムで検証した。その結果、マルチロータ―システム全体では、従来の並列(同一平面)配置と同じ出力増加効果を維持しながら、それぞれの風車の出力、抗力に差が生み出すことができることがわかった。このメカニズムを明らかにするために、スタガード配置でのマルチロータシステムの流れの数値解析を風洞実験と並行で行った。その結果、この現象は上流側の風車を避けるようにして流れた風が下流側の風車に当たることで、下流側の風車に流入する風がより加速し、下流側風車の出力が増加することで実現されていることを確かめた。マルチロータシステムの組合せ個数が変化しても実験と計算の傾向はよく一致しており、良好な結果が得られていると言える。すなわち、最適配置の検討と、その現象の解明については順調に進展していると言える。次年度は今年度得られたスタガード配置という新しいアイディアをもとにした知見を、更に多数の風車について適用し研究を進めていくことで一般化していく。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の主たるテーマは、以下の通りである。 ・空力弾性応答を検討し、その評価方法の確立を図る。 ・新しいコンセプトの小型規模マルチレンズ風車キャンパス内で野外試験を行う。 また、今年度新しい配置(スタガード配置)に関して有益な知見が得られたので、上記と並行して最適配置に関する研究は継続し、基数を増価させた場合の現象の解明と評価も継続で行っていく。
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