2020 Fiscal Year Research-status Report
臨床音楽学研究:知的障害者を含む音と言葉による対話の場の構築
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18KT0082
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
沼田 里衣 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10585350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 なほ (ほんまなほ) 大阪大学, COデザインセンター, 教授 (90303990)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 臨床音楽学 / コミュニティ音楽療法 / コミュニティ音楽 / 臨床哲学 / 対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、音楽学と音楽療法の接合点として議論の端緒にある臨床音楽学について、臨床哲学において蓄積しつつある哲学対話の研究を参照して実践の場を構築し、理論化を行うものである。研究の流れは、①音と言葉による実践研究の実施、②調査・分析、③公開研究会、④理論化という4つから成る。 本年度は、最終年度に当たるため、理論的検証と成果のまとめを行う予定であった。しかし、前年度行う予定であった事業の遅れもあり、本年度も開催が困難な内容が多かったため、延長して引き続き研究を行うこととした。本年度は、①実践研究に関しては新しい企画は難しかったが、②調査・分析として、対象団体の活動、及び関連する団体の最近の動向を調査し、そうした活動において語られている言葉を丁寧に検証する作業を行った。「多様性」「社会包摂」などでその活動の意義が語られる場面も増えてきたが、その実態と問題点について、現場に関わる人とともに詳細に考えることができた点は、研究促進と社会的還元の両方の意味で意義のあることであったと考える。③公開研究会の実施としては、前年度から延期となっていた舞台公演の振り返りの会を実施した結果、従来と異なる視点から活動の意義を捉える視点が見出された。また、②の内容についても、公開で意見交換を行った。④については、音楽療法の世界大会で成果を発表するとともに、臨床音楽学研究の議論の方向性を示す内容について、国際学会誌に投稿のため執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の4つの流れについて、①については、新しい企画が新型コロナウイルスの影響で困難であったため、やや遅れている。②ついても、同様の理由で調査先の活動が困難となる場合も多かったため、やや遅れている。③については、新たな視点が見出され、順調に進んでいる。④については国際学会で発表したことによる成果はあったが、執筆した内容については次年度に出版予定のため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、知的障害者を含む人々と楽器等を使った対面での実践研究を含むため、新型インフルエンザ蔓延の状況にあって、対話活動の方法を状況に応じて検討し直す必要がある。前年度に蓄積されたオンラインでの方法を活用しつつ、安全策を考えた上での対面の方法も合わせ、今後の方針を見据える必要がある。計画としては、オンラインを交えた対話の場を設定し、これまで得られた知見の精緻化を図りつつ、学会発表及び学会誌発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延により、状況が読めない中で、とくに障害のある人を含む活動の企画が困難であった。次年度は、実践については規模を縮小したり遠隔での方法を開発していくとともに、理論化へ向けた対話に重点を置いて研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)