2007 Fiscal Year Annual Research Report
革新的な汎用性立体保護基の導入による新奇な有機元素化合物の構築と機能開発
Project/Area Number |
19002008
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉尾 皓平 The Institute of Physical and Chemical Research, フロンティア研究システム, システム長 (60026218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 司 独立行政法人理化学研究所, 機能性有機元素化学特別研究ユニット, 副特別研究ユニットリーダー (90312800)
三成 剛生 独立行政法人理化学研究所, 研究技術開発・支援チーム, 基礎科学特別研究員 (90443035)
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Keywords | 立体保護基 / PPV / 有機元素化合物 / ケイ素 / ジシレン / スチルベン / オリゴマー / 発光 |
Research Abstract |
初年度である平成19年度は「ケイ素-PPV」の構築と機能開発について集中的に研究を行った。縮環型立体保護基を開発してモデル化合物(モノマー)や単一分子量を有するオリゴマーの合成研究を行い、分子構造や光物性に関する基礎データを集積して、高周期不飽和結合を構成単位とする新奇なパイ共役電子系の化学的・物理的性質について明らかにした。機能性有機元素化合物の化学を展開する上で極めて重要な知見を得た。立体保護基の合成では、分子内フリーデル・クラフツ反応を用いて、側鎖の種類や配列の異なる種々の縮環型立体保護基を収率良く合成した。アルキル鎖長の異なる誘導体など今後の研究展開において必要となるバラエティー豊かな縮環型立体保護基のシリーズを創り出すことに成功した。これらの立体保護基を用いて、新たに4種類のモデル化合物(ジシラスチルベン誘導体)の合成・単離に成功した。単結晶を作成して分子構造をX線結晶構造解析により決定するとともに、溶液中の構造や電子物性を分光学的手法により明らかにした。剛直なヒドロインダセン骨格に起因する共役電子系の構造制御、立体保護基の側鎖の違いによる化学安定性の変化、溶解性や結晶性の制御など、モデル化合物の化学的・物理的性質について基礎データを十分に収集した。また、モデル化合物で得られた知見に基づき、4種類の立体保護基を用いて「ケイ素-PPV」のオリゴマーを合成した。ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて分子量分布を解析した。一部のダイマーは単離に成功し、ベンゼン環とケイ素-ケイ素二重結合が交互に配列した共平面性の高い分子構造を解明した。また、一連のオリゴマーがジシレン化合物としては初めての発光特性を有するなど、パイ共役系の拡張に伴う興味深い光物性について明らかにした。
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Research Products
(11 results)