2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19103001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 二郎 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70143352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 太郎 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00229890)
遠藤 乾 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
空井 護 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (10242067)
杉田 敦 法政大学, 法学部, 教授 (30154470)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
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Keywords | 政治学 / 市民社会 / 社会民主主義 / 平等 / 新自由主義 |
Research Abstract |
本年度は、最終年度のまとめとして、市民社会と社会民主主義の接合というテーマについて理論的な検討と、日本政治に関するモデルの提起という作業を行った。 前者に関しては、前年度に行った哲学者、柄谷行人氏の著書『世界史の構造』の合評会での柄谷氏を交えた討論が出発点となり、考察をさらに広げた。特に、理論的な面では互酬的共同体の理念に触発され、同時に東日本大震災の復興における市民社会の活動に関する実態調査とそれに基づく分析も進めた。このような理論、現実の両面に基礎を置いて、災害等の物理的なリスク、社会的排除や社会保障の脆弱化という社会的なリスクを社会全体で受け止めるための社会連帯的政治モデルの展開を試みた。 後者に関しては、2009年の政権交代の前後における日本政治の連続と変化に関する実証的な研究を蓄積し、それに基づいて、政党政治によって政策転換を進めることの可能性と限界について考察した。そこでは、政党政治の自己完結的な政権運営の限界と失敗が明らかにされた。同時に、政策転換の成功事例の分析を通して、政党政治と市民社会との連携が政策実現の鍵となることも明らかにされた。また、社会連帯理念を社会、経済政策として具現化するための条件についても考察を進め、社会保障政策、雇用政策などを題材として、政権交代を挟んで、日本において新自由主義的経済政策からの転換がどの程度、どのように進んだのかを明らかにした。 以上に述べたように、政治の現実や3.11大震災という社会の現実に随伴しながら、戦後日本、あるいは20世紀後半の先進国の政党政治、福祉国家のモデルの限界を明らかにしつつ、次なるパラダイムを構築するという作業の基礎が固まった。
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Research Products
(53 results)