Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 正美 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40170469)
山田 耕司 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (60273281)
中治 弘行 鳥取環境大学, 環境情報学部, 准教授 (80314095)
松本 慎也 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30325154)
向井 洋一 奈良女子大学, 生活環境学部, 准教授 (70252616)
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Research Abstract |
本研究では,これまでの研究の成果を発展させ,伝統的な木組み仕口・接合部,土塗り壁や差鴨居など軸組のディテールを構造力学的に解明したうえで,伝統構法の技法,技術の良さを生かし,木組み仕口・接合部などの構造ディテールの設計法とともに,伝統木造建築物に高い耐震性能を与える構造設計法を構築することを目的として,平成22年度は以下の研究を行った。(1)伝統構法の木組み仕口・接合部の要素実験等を実施し,接合部でのめり込み現象を実験的に調べ,接合部のめり込みのメカニズムを明らかにし,長ほぞ込栓打仕口の応力伝達や抵抗機構など実験的検証のもとに仕口・接合部の解析モデルと解析法を構築した。(2)構造ディテールの設計法では、土塗り壁,小壁の詳細な数値解析法を改良・発展させて耐力発現メカニズムと理論的な解析モデルによる解析を行って,土塗り壁,小壁の耐力の推定法に展開した。また、地域によって異なる小舞下地や壁土の配合,接合部の仕様の土壁の実大実験を継続して行い,地域の仕様が壁の損傷や耐力に及ぼす影響を調べた。(3)伝統木造建築物の構造解析法では、礎石建ての伝統構法木造軸組の要素実験や実大振動台実験を実施して,柱脚の滑り挙動について明らかにするとともに,柱脚の滑りを含む解析法の妥当性を検討した。柔な水平構面を組み込んだ伝統構法木造軸組の立体的な力学モデルをもとに、水平構面の変形を考慮した伝統木造軸組全体の動的解析を行い、水平構面の変形の影響などを調べた。また,立体フレームの振動台実験から仕口・接合部のめり込みを考慮した静的および動的構造解析法を提案した。(4)伝統木造建築物の構造設計法では、上記の静的構造解析法,地震応答解析法によって,建物全体の耐震性能とともに,仕口・接合部や各構造要素など構造ディテールの性能の検証を行った。金沢市や京都府北部の伝統構法木造住宅の耐震性能評価や耐震補強法の検討を行ってきているが、今後、具体的に伝統構法木造建物を想定した事例設計を行い,本方法の問題点の検出と改良を重ねて,設計法の提案につなげる。
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