2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES細胞の増殖分化機構の解明とその臨床応用に向けた基盤技術開発
Project/Area Number |
19109006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中畑 龍俊 Kyoto University, iPS細胞研究所, 特定拠点教授 (20110744)
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Keywords | ES細胞 / ヒト / 再生医療 / 幹細胞 / NOGマウス |
Research Abstract |
1.NOGマウスを用いたヒト幹細胞の測定系を確立してきた。本年度はヒトES細胞から分化させた種々の細胞をこのマウスに移植し、その性質の検討を開始した。本研究は、当初計画に沿って順調に進行していると考えられる。2.ヒトES細胞から血液細胞への分化系を確立した。ヒトES細胞からVEGFR-2、CD34両者陽性の細胞が培養日数とともに増加し、この分画からは様々な血液細胞、血管内皮細胞、両者に共通の母細胞であるヘマンジオブラストが出現することが明らかとなった。本研究も計画通り順調に進行しているが、ES細胞から誘導した各種細胞をNOGマウスに移植する実験を精力的に行なっているが、未だマウス骨髄を再構築させる能力を持った造血幹細胞は検出できていない。3.マウスの系でES細胞からサテライト細胞、骨格筋細胞を誘導することに成功した(Chang H et al.FASEB J.2009)。このES細胞由来のサテライト細胞をDuchenne型筋ジストロフィーのモデルマウスであるmdxマウスに移植したところ、筋肉が再生され、ジストロフィン蛋白を持つ筋繊維が長期間維持できることが確認された。本知見は、今後の筋ジストロフィーへの再生医療の可能性を示す重要な結果と考えている。ヒトES細胞から骨格筋細胞への分化についても検討し、ヒトES細胞から攣縮する能力を持った骨格筋が形成されたが、その前駆細胞であるサテライト細胞の細胞表面抗原の候補となる分子は検索中である。4.ヒトES細胞からの心筋細胞への分化系を確立した。拍動する心筋細胞はES細胞から容易に得ることができるが、その前駆細胞だけを純化する方法について現在検討中である。 ヒトiPS細胞を用いた研究も平行して行なった。ES細胞研究から得られる成果の多くはiPS細胞研究にも応用可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(74 results)