Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘忠 東京大学, 工学系研究科, 教授 (80185355)
吉村 忍 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90201053)
陳 ゆ 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (00272394)
大澤 幸生 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (20273609)
橋本 康弘 東京大学, 工学系研究科, 講師 (10376494)
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Research Abstract |
1.ネットワーク分析によるリスク発見:ネットワークシステムに潜む機能の喪失と波及のリスクを検出する手法を開発するため,ネットワーク可視化,分析フレームワーク,そのためのアルゴリズムの開発を行った。本年度は,ネットワーク時系列データから抽出されるクラスタの特性を分析し,そのような時間依存のネットワーク分析を行う際の時間間隔の決定法について検討した。 2.シミュレーションによるリスク発見:H19年度は,人工減少に伴う都市システムのリスク発見の基盤手段として,公共交通システムの拡充が及ぼす影響を交通混雑状況と財務的観点からシミュレーションする手法を知的マルチエージェントモデルとリアルオプションに基づき構築し,岡山市のLRT駅前延伸問題を例として具体的な評価を行い,その有効性を確認した。 3.生命規範からのリスク発見:大規模複雑問題への高いスケーラビリティをもつ生命発生的進化モデルを開発した。人工胚発生モデルに基づき,複雑なパターンを効率的に生成できるアルゴリズムを開発し,次に,これを一般的な複雑構造物の生成に適するよう改良した。これにより,大規模複雑システムの構造評価,リスク評価を可能とした。 4.経験からのリスク発見:リスク発見のための重要な情報源である事故,故障報告から教訓を最大限に抽出し,水平展開につなげる技術を開発する。まず公開されている事故,故障報告データベース,失敗データベースを基に,事故,故障オントロジーを構築し,これに基づき事故,故障の事象因果,関係要因を形式的に記述する手法を開発する。つぎに,事故,故障報告において自然言語で自由記述された事象の発生状況,発生原因といった内容を,事故,故障オントロジーに基いて自動分析するシステムを開発する。 (5)シナリオ共創によるリスク発見:実務チームをメンバーとするWeb上の議論環境において,参加者や話題の関係を可視化するとチーム活性化の背景因子が把握できることを実験的に検証した。また,文章に記入者自らがアノテーションを施すインタフェースを開発し,感覚的な気づきを表出化する効果を得た。これらの根底には潜在因子を掘り起こすメタ認知の効果があるため,Web上のホワイトボードに様々な概念を並べて共通性を考える思考空間を試作し,潜在リスク要因に気づくメタ認知プロセスについて観察的にモデル化を進めている。
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