2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19201031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古田 一雄 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (50199436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘忠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80185355)
吉村 忍 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90201053)
大澤 幸生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20273609)
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Keywords | リスク発見 / 大規模複雑システム / モデル化 / 生命規範 / 事故・故障報告 / シナリオ共創 / シミュレーション / ネットワーク分析 |
Research Abstract |
1.ネットワーク分析によるリスク発見:論文のデータベースやウェブにおける閲覧履歴といった行動情報の履歴から、人と人の社会的インタラクションが作るネットワークを構築し、その時間変化を捉えるための研究を行った。コミュニティ構造の通時的分析と可視化によって、ソーシャルネットワークにおけるコミュニティ構造の遷移ダイアグラムを構築し、それによって行動情報の背後にある個人の属性、あるいはネットワークを構成するエンティティの属性を明らかにするための新しい方法論を示した。 2.シミュレーションによるリスク発見:視野および視点移動を考慮した視覚認知モデルを知的マルチエージェントシミュレータに組み込み、本シミュレータを用いて交通流シミュレーションを行った。その上で認知モデルに含まれる生理学的パラメータに関する感度解析を実施した。感度解析を通じ、安全を保つために視話すべき車両を見落とすという認知エラーの発生状況、ひいては交通事故というリスクの発生状況に対してパラメータの差異がどのように関与しているか示すことができた。 3.生命規範からのリスク発見:人工胚発生アルゴリズムに基づく構造発生モデルを作成し、これを利用した構造形成の特徴を明らかにした。ルール集合としてセルオートマトンと同様の制約伝播型アルゴリズムを用いた。また、人工胚発生ルール集合のモジュール性に着目し、対象とする問題サイズの増加に対応できるようスケーラビリティを上げる方法として、問題サイズを徐々に増加しながら解を進化させていく段階的進化法を提案し、この有効性を示した。 4.経験からのリスク発見:医療インシデントの発生要因、および因果関係を整理したオントロジーを元に、インシデントレポートとして入力されたデータを自動処理し、背後要因や因果関係、および再発防止対策の推論・提示を行う分析システムを開発した。分析システムによる結果を用い、インシデントをその発生要因や因果関係から体系的にとらえ、再発防止対策の考案を行いやすくするために、インシデントの発生パターンについて検討した。 5.シナリオ共創によるリスク発見:かねてから企業でのチャンス発見およびその基礎能力強化効果が実験的に認められていたイノベーショングーム、アナロジーゲームを統合したプロセスを構築し、さらに「都合」の表現形式を提案して盛り込むことによって、実現性の高いシナリオを創造する効果を検証した。検証実験では製造業、サービス業におけるビジネスリスクの発見から、医療、原子力への応用展開まで扱った。また、部分的にWeb上で稼働するシステムとし、会話情報環境を実現した。
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Research Products
(4 results)