Research Abstract |
農村環境に生息するアカネ属のトンボが近年急激に数を減らしている。今年度上田は全国のトンボ研究者に依頼し,個体数モニタリング調査を実施した。また,20年前と同じ水田を調査し羽化数が1/100に減少していることを示した。アカネ属の産卵場所選択行動を誘引する田面水の大きさや形状などを明らかにするために,ビデオを援用して場所選択行動を観察記録し,現在解析中である。 椿はアキアカネの産卵行動を水深0〜5cmのプールとそれに隣接した水深約1mのプールで観察した。その結果,アキアカネは雨後の地面にできるような短命の水たまりを選択的に産卵場所とすることが示唆された。つまり天敵のいない場所を選んで産卵していることになる。 また,カワトンボとオオカワトンボが混生する地域でのメスによる産卵場所選択の行動観察により,メスは種の識別をオスの存在,とくに翅色にもとづいて行っていることを明らかにした.産下された卵を回収し,DNA解析による卵の種同定作業を進めている。 針山はERG法を用い,カワトンボとオオカワトンボ雌雄のスペクトル応答を測定し350nmから650nmまでの波長域に反応することがわかった。選択光順応実験により,両者の雌雄ともに390nm,470nm,510nmにピークをもつ視細胞の存在が示され,また長波長域では,雄では610nm,雌では630nmと異なった波長域に応答ピークがあり,雌誰差があることが示唆された。 清水はシオカラトンボのオス成虫の脳をサンプルにして,ユニバーサルプライマーでRT-PCR法を用い増幅を行いクローニングした。その結果,眼外光受容器として季節情報としての光周期を受け止める機能を有すると推定されるアミノ酸配列を同定した。
|