2007 Fiscal Year Annual Research Report
VR画像を活用した日本装飾古墳デジタルアーカイブの構築
Project/Area Number |
19202026
|
Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
河野 一隆 Kyushu National Museum, 学芸部・企画課, 文化交流展室長 (10416555)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤司 善彦 福岡県立アジア文化交流センター, 展示課長 (00446882)
|
Keywords | 装飾古墳 / デジタルアーカイブ / 彩色壁画 / 写真測量 / VR(バーチャルリアリティ) / 古墳時代 / データベース / インターネット |
Research Abstract |
日本列島に約600基存在する装飾古墳は、約半数が福岡県・熊本県を中心とする北部九州に所在する。この研究では、写真測量技術を応用して壁画に影響を与えることなくVR画像を作り出し、装飾古墳の石室全体を客観的に記録するための方法を開発した。この方法で計測した古墳は、久留米市内3古墳(下馬場古墳・前畑古墳・寺徳古墳)、うきは市内2古墳(塚花塚古墳・重定古墳)筑紫野市内1古墳(五郎山古墳)の計6古墳である。これにより、石室と壁画の記録方法が従来の実測図の作成と比べて飛躍的にスピードアップしただけでなく、壁画とカビ等の汚損や石室の崩壊などの石室内における位置関係を3次元的に記録できるようになり、装飾古墳の保存のために蓄積するデータの基盤を確立することができた。またこの方法で製作したVR画像データは、通常は内部に立ち入れない装飾古墳を博物館で展示することにも活用できる。また、軽量化をはかることによって、インターネットによって配信することも可能である。VR画像は文化財の保存普及に新しくかつ最適な記録手段であり、大きな可能性を秘めていることを本年度の実証実験によって確認することが出来た。 また、熊本県釜尾古墳・福岡県王塚古墳を対象として、4×5フィルムおよび6×6フィルムによる写真撮影を実施した。両古墳とも、現時点での鮮明な記録写真が無く、50枚以上の良好な文様の全体およびアップの撮影に成功し、装飾古墳の現状を記録した貴重な資料となった。また、30年以上前の装飾古墳の写真のデシタル化などのデジタルアーカイビングにも積極的に進めた。 これらの成果の一部を、10月2〜20日に当館ミュージアムホールで開催した「進化する博物館-デジタル・アーカイブの可能性を探る〜迫真のアンコール遺跡 尊顔とバイヨン寺院展」でパネル・映像展示し、シンポジウムでも公表し、大きな反響を得た。
|