Research Abstract |
本共同研究の目的は,パワーと歴史認識の交錯という視点から,冷戦後東アジアの国際関係の構造変動と歴史摩擦が地域秩序の形成におよぼす影響を多面的に分析することを目指す。 07年度は初年度でもあり,研究分担者と知見提供者の発表と討論を通して,問題意識の共有化と,それにもとつく各研究分担者の研究課題の設定,資料収集に力点をおいた。4回の研究会を開催したが,研究活動および研究の進捗状況は以下の通りである。 (1)第一回研究会(07年7月1日,九州大学六本松キャンパス)。研究プロジェクトの趣旨説明,各分担者のテーマに関する説明と確定。今後の日程と海外研究協力者、国内知見提供者についての協議。 (2)第二回研究会(07年9月29,30日,大阪大学中之島センター)。分担者の土佐弘之,李弘杓の両名および知見提供者生井英考(共立女子大学)および高原明生(東京大学)による報告と討論。 (3)第三回研究会(07年1月3,4日,南山大学)。分担者初瀬龍平,海外研究協力者の李元徳(韓国国民大学),歩平(中国社会科学院近代史研究所),知見提供者としてハーバート、ビックス(ビンガムトン大学),高嶋伸欣(琉球大学)による報告と討議。 (4)第四回研究会(07年3月10日,一橋大学)海外研究協力者ロバート、マクマン(オハイオ州立大学)による報告と討論,および参加による今後の研究会の進め方についての意見交換。 くわえて,(5)分担者の李が米国を訪問し,資料収集とインタビューを行った。また,代表者の菅も米国を訪問し,資料収集にあたり,また海外研究協力者との意見交換を実施した。 その他,(6)本研究のホームページを作成し,研究会に出席できなかった分担者のために,研究会の報告内容が把握できるように努めた。同様のホームページを英文でも作成し,海外研究協力者との情報交換にも配慮した。 本年度4回の研究会の活動を通して,研究分担者のテーマの確定を終わり,2年次以降の残された研究課題も明らかになった。したがって,2年次の第一回研究会では,報告者は分担者3名とし,残りの時間は分担者全員による研究の進捗状況を示す報告(2〜3頁)を提出してもらい,全員で協議し,さらに問題意識の共有化と研究枠組みに関する共通認識の形成を目指すことにしている。また,本研究が歴史摩擦に関する研究を主要課題としている関係上,第二回目の研究会は中国社会科学院で開催し,中国側参加者との意見交換のための準備を歩平氏と行っている。なお,11月の第三回研究会にはプロジェクトの進捗状況の中間評価をしてもらうためにブルース、カミングス(シカゴ大学)による研究会への参加をお願いし,出席の確約を得ている。また,11月の研究会にはクリストファー、ヒューズ(ウォーリック大学)も参加し,報告することになっている。 全体として,研究は計画通りの成果を挙げ,海外研究協力者との連携も順調に進んでいる。
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