Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90234509)
白井 朋之 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (70302932)
貝瀬 秀裕 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (60377778)
稲浜 譲 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80431998)
竹田 雅好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179650)
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Research Abstract |
確率解析の応用として,今年度は特に幾何学への応用に関して研究を進めた.研究代表者の松本は,最も基本的な多様体の1つである双曲空間上のブラウン運動に対してその時間を無限大にしたときの漸近挙動について研究を進め,出発点からの距離に関する中心極限定理,分布の収束をブラウン運動の表現を用いて示し,グリーン関数の具体的な表示をすべての場合に与えた.分担者熊谷はフラクタル上のラシダムウォークの漸近挙動について研究を進め,フラクタルの幾何の研究において重要な役割を果たすポアンカレの不等式など種々の解析的な結果を得た.また,分担者白井は有限グラフ上のマルコフ連鎖に関して研究を進め,特にすべての点を訪問する最初の時間,つまり被覆時間とその最終訪問点の結合分布を,その有限グラフの連結部分グラフからの脱出時間とそのときの脱出点の結合分布の交代和で与える公式を与えた. 一方,内外の研究者の旅費を援助して,7月に京都で開催された幾何学研究における確率論的方法と題した国際研究集会の成功に貢献した.そこでは微分構造をもたない空間の幾何学への応用などの最新の結果を含む様々な話題に関する研究発表を通して,活発な議論,研究連絡,共同研究が行われた. 確率解析とその周辺,確率論シシポジウム,と題する研究集会を開催し,主に国内の研究者の研究結果に関して議論,研究連絡,さらには発表された結果をもとにした共同研究を行った. 確率解析の解析学への応用に関しては,従来通り研究を進めた.分担者竹田は拡散過程を生成する微分作用素の第一固有値が考える可積分関数の空間に依らないための条件に関して研究を行った.貝瀬も制御理論に関連して第一固有値の拡散過程による特徴付けに関する結果を得ている.さらに,貝瀬はmax-plus代数に基づいた制御理論の新しい定式化とその応用について研究した.また松本は,双曲空間上の確率解析に現れる指数型汎関数を用いて,一般化逆ガウス分布に対する研究を行い,分布の等式など新たな知見を得た.
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