2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19204015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河東 泰之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90214684)
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Keywords | 作用素環 / 数理物理学 / 場の量子論 / 共形場理論 / 部分因子環 / 統計力学 / 非可換幾何学 / 群作用 |
Research Abstract |
今年度はCarpi,Hillier,Longo,Xuと共に,中心電荷cが離散系列c<3に属するときの,Neveu-Schwarz代数の真空最高ウェイト表現から生じるN=2超Virasoroネットと非可換幾何の関係について研究した.前者は無限次元Lie環から生じる作用素環論的対象であり,これまで非可換幾何学との関係はほとんど何もわかっていなかった. N=2超Virasoroネットからは代数的場の量子論に現れる通常のグレイド付きネットなので,Fredenhagenの意味でその普遍C*-環が生じるが,この環のK群を計算することが非可換幾何学の立場から重要である.今回の研究成果では,ある種のDoplicher-Haag-Roberts表現がそのC*-環のKO-群の元を与えることを具体的に示した.後者は,純粋に代数的場の量子論での数学的対象なので,まずこれによって,非可換幾何学と代数的場の量子論の新たな関係が明らかになった. 一方Connesの意味でのentire cyclic cohomologyを計算するこことも,非可換幾何学の重要な問題である.今回の研究では,上記のDoplicher-Haag-Roberts表現が,Jaffe-Lesniewski-Osterwalder-cocycleを生じることも示し,ここでも非可換幾何学と,代数的場の量子論の新たな関係を示した. これらの間のindex pairingを計算することが次の重要な課題であるが,これにも成功し,その値としてKronecker δが生じることを示した. また,この流れの中で,物理学者の予想していた,N=2超Virasoro代数の表現のcharacter formulaの新しい証明を作用素環論を用いて与えた.
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