2010 Fiscal Year Annual Research Report
あかり遠赤外線広域マップの作成とそれを用いた分子雲形成過程の研究
Project/Area Number |
19204020
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
北村 良実 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (30183792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴雄 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20202210)
上野 宗孝 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, グループ長 (30242019)
土井 靖生 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (70292844)
金田 英宏 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (30301724)
岡本 美子 茨城大学, 理学部, 准教授 (10343469)
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Keywords | 赤外線天文学 / あかり / 遠赤外線マップ / 分子雲 / 星形成 |
Research Abstract |
4年目の昨年度(最終年度)は、データ処理パイプラインプログラムを完成させ、サイエンスが可能な質の高い遠赤外線広域マップを銀河中心方向について作成し、あかりチーム内に公開した。さらに、カメレオン分子雲の高感度遠赤外線マップも最終版が完成し、科学的解析結果について天文学会で発表した。 データ処理パイプラインについては、次の2点の大きな改善を施し、最終版を完成させた。1)生成画像の二次元フーリエ変換によってスキャンパターンに固有の空間周波数パターンを抽出し、これをマスクすることで効率的に除去するルーチンを確立した。2)宇宙線に起因する外れ値除去について、値のグルーピングによる判定を導入することで精度良く除去するアルゴリズムを確立した。これらの改善の結果、30%以下の相対精度及び絶対精度、10MJy/sr以下の検出限界を全観測バンドについて達成した。完成版パイプラインによる全天データのプロセスを開始し、銀経±90度、銀緯±2.5度の範囲については、あかりチーム内に公開した(6月頃までに全天画像を公開予定)。 カメレオン座領域の遠赤外線マップについては、最終的な位置補正、強度補正、スキャンパターン除去を行った完成版を得て、次の天文学的解析を行い、天文学会で発表した。1)原子雲と分子雲の柱密度マップを導出し比較した結果、分子雲形成モデルに対して新たな制限を与えることができた(論文は5月中に投稿予定)。2)クランプ質量関数を導出した結果、希薄な原子雲に至るまで星の初期質量関数との類似性が成立していることが分かった。3)柱密度の確率密度関数とパワースペクトルを評価した結果、原子雲に存在する遷音速乱流が星の初期質量関数のベキ指数を決めている可能性が高いことが分かった。4)カメレオン分子雲Iについて120個の原始惑星系円盤を検出し、三つのクラスに分類した。
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