2010 Fiscal Year Annual Research Report
最高エネルギーのコライダー実験によるBSM物理の新展開
Project/Area Number |
19204027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川越 清以 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40183785)
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Keywords | 素粒子 / コライダー / 標準理論 / BSM / 超対称性 / ダークマター / 余剰次元 / 新粒子 |
Research Abstract |
LHC加速器は平成20年に起きた事故を乗り越え、平成22年3月に、ついに重心系エネルギー7TeVでの陽子陽子衝突実験を開始した。このエネルギーは設計値の半分であり、衝突輝度(ルミノシティ)もまだ設計値に及ばないものの、アトラス実験は順調に進行し、積分ルミノシティ約45pb^<-1>に相当する実験データを収集した。まだ実験開始直後でありデータ量は少ないものの、世界最高エネルギーというLHC最大の強みを生かして、すでに多くの新粒子探索の分野で、これまでのコライダー(LEP,Tevatron)で得られたリミットを大きく超える新しいリミットを得ることに成功している。 本研究の主題である、素粒子の標準模型(SM)を超える(BSM)物理の探索が精力的に行われた。現在も多くの物理解析が進行中であるが、これまでに論文として発表したものを以下にあげる。 1.ジェット対に崩壊する、励起クォークなど重い新粒子の探索。ジェット対の不変質量分布から共鳴状態を探すことで、質量の下限を決めた。 2.ジェット生成事象の角分布の測定による新しい接触相互作用の探索。 3.余剰次元のUEDモデルなどで期待される光子対と横方向のエネルギー欠損を持つ事象の探索。レプトンと横方向のエネルギー欠損を持つ事象の研究。これらの不変質量分布から、素粒子の複合模型などで予言される重いW粒子の探索を行った。 これらの素粒子の複合模型や余剰次元など標準理論を超える物理に対して、従来のものを大きく超えるリミットが得られている。また、理論・実験の合同研究会を開催し、これらの実験結果について、議論を重ね、今後の解析方針の検討を行った。
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Research Products
(5 results)