Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大志万 直人 京都大学, 防災研究所, 教授 (70185255)
吉村 令慧 京都大学, 防災研究所, 助教 (50346061)
笠谷 貴史 (独)海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, ポスドク研究員 (90373456)
久保 篤規 高知大学, 理学部, 准教授 (60403870)
桑原 保人 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, グループ長 (50183801)
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Research Abstract |
既存地震観測網のデータの処理・解析を進め,約1万個の地震の震源とメカニズム解を再決定した.観測点補正値を精度良く決定することにより,P波の0-CのRMSは,20ms弱から10ms未満と千分の一秒の桁まで減少し,震源精度は水平で20m,深さで50m程度と向上した.これら大量の精度良いデータを用いて,主圧縮軸の方位分布等を精細に解析し,以前の解析により検知されていた,深さ2,3kmの浅い部分の低速度異常の周辺で,応力場の局所的な乱れを見出した.低速度異常域以外では,ほぼ西北西-東南東の主圧縮軸となっているが,低速度異常域の近傍では,南北に近い主圧縮軸となっている.低速度異常域内には地震が少なく,その周辺で集中して発生していることと合わせると,低速度異常域で非弾性的な変形が起こっていることが推定された.また,S波速度構造を精度良く求めるために,radialとtransverseの波形の振幅比を活用することにより,S波の到着時刻の自動および手動読み取り精度の向上を計り,プログラムの整備により処理能力が向上した.扇型の断層モデルに基づく新たな波形解析手法を開発して,低速度異常の周辺において微小地震の破壊伝播速度と応力降下量を見積もった.高サンプリングの波形データを活用して,マグニチュード0程度の極微小地震による,50Hz〜100Hzという高周波の地震波を断層モデルにより説明することに成功した.結果としては,破壊伝播速度と応力降下量ともに,大地震について知られているものと同程度であることが分かった.
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