2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアおよび南アジアにおける有機エアロゾルの化学組成、空間分布および吸湿特性
Project/Area Number |
19204055
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持田 陸宏 名古屋大学, 高等研究院, 特任准教授 (10333642)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
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Keywords | 東・南アジア / エアロゾル / 化学組成 / 吸湿特性 / 雲凝結核 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一に、人間活動が急速に増大した中国など東アジアとその影響を強く受けている西部北太平洋、および、産業活動が急激に増加しているインド(南アジア)においてエアロゾルの化学組成(有機・無機)を明らかにし、有機エアロゾルの生成・変質および輸送の特徴を大気観測によって明らかにすることである。第二に、エアロゾル粒子の水蒸気凝結特性に着目し、東アジア・南アジアにおけるエアロゾルの粒径分布および水蒸気凝結能力を観測および実験により高い精度で解明する。第三に、これまでの研究では別々に行われてきたエアロゾルの化学組成と吸湿特性の研究を総合化することによって、化学組成がエアロゾルの物理特性に及ぼす影響を定量的に明らかにし、東アジアのエアロゾルが持つ雲凝結核特性を定量的に評価する。 本年度は、2007-2008年の冬にモンゴル・ウランバートルにて採取した都市エアロゾル試料を分析し、低分子ジカルボン酸類を測定した。また、無機イオン成分との比較を行った。C2-C12の低分子ジカルボン酸、ケトカルボン酸、ジカルボニルを検出したが、テレフタル酸がしばしばシュウ酸よりも高い濃度で検出された。この分布は、これまでに日本・中国・インドで観測された特徴とは大きく異なる。テレフタル酸は、PETボトルなどプラスチックの主成分として使われている。それらを燃やすと、モノマーであるテレフタル酸が生成され大気中に放出されると思われる。ウランバートルでは、ビニール袋、ペットボトルなどプラスチック廃棄物が、日常的に暖炉などで燃やされていると考えられる。ウランバートルは山に囲まれた盆地であり、冬季の逆転層の発達と相まって、テレフタル酸などが大気中に蓄積されたものと解釈された。また、エアロゾル試料から水抽出された有機成分の吸湿特性をH-TDMA装置で測定した。その結果、Gf=1.11-1.35(av.1.22)と高い吸湿性を示した。これは、バイオマス燃焼で生成したエアロゾルの値に近いことがわかった。
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Research Products
(18 results)