2010 Fiscal Year Annual Research Report
縦揺れに同調周期を持たない大型高速SWATHの研究
Project/Area Number |
19206093
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 基樹 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (20404080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 健 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70107366)
岩下 英嗣 広島大学, 工学系研究科, 教授 (60223393)
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Keywords | 船舶工学 / 高速船 / 波浪中運動性能 / 縦揺れ / 同調周期 / 双胴船 / 対航性 / 経済性 |
Research Abstract |
Sea State 7(有義波高6~9m)の海洋において耐航性つまり波浪中船体運動性能および高速航行性能が良好な速力40kts、Payload 5,000t以上の大洋航行大型高速船基本コンセプトの確立、就中それを実現するための『縦揺れに同調周期を持たない大型高速SWATH(RMFS)船型の優位性検証を研究目的とし、本年度研究計画通り理論計算及び実験特に規則波中、不規則波中線形、非線形翼制御実験の解析及び耐航性検討を行った。RFS船型は縦揺れ復原力を持たない船であるので、航行安定性のため小型水中翼制御方式の開発が特に重要課題となるからである。 まず、線形PD制御について、運動方程式にfin揚力特性、fin揚力制御力、制御系遅れを考慮した理論を構築し、一方、駆動fin装置を設計、製作し、それを用いてimpulse応答実験を行なった。理論と実験とで得られた安定最大制御gain値はよく一致した。 次に、非線形VSS制御の理論を創案し、制御block図に基づく時間領域simulationにより運動振幅を計算する一方実験で運動測定実験を行なった。これらの結果より、制御系のsliding時間に余裕のあると考えられる実船においてVSS制御を工夫すると、RFS運動応答を更に低減できることが分った。 更に、4種類の船型の波浪中運動応答を実験及び理論により比較した。PD制御されたRFSの運動応答は、mono-hull或はtrimaranに比べheave運動で1/57~1/22まで、pich運動でほぼ1/8まで大きく低減される。減揺型船型であるordinary SWATHと比べても、RFSは,have運動で1/16~115まで、pitch運動で2/3まで低減される。実海域波高8mという大きな波の中においても、RFS船首位置の相対水位、又は船首加速度などの耐航性指標は極めて良好である。 また、正面向波不規則波中の実験及び理論予測から、RFSは、実海域尺度で波高10m近い大きな波を含む波浪中においても、slamming、propcller racing、海水打込み、上部deck下面の波浪衝撃等が皆無で、極めて安定した高速航走が可能である。Ordinary SWATH及びRFSの不規則波中運動応答実験結果は、それらの規則波中応答関数とISSC spectrmとを重ね合せ計算した応答予測値と極めてよく一致した。有義波高8m強を持つ不規則波中において、RFS運動応答の有義値或は1/1000最大期待値はordinary SWATHに比べheave運動で1/4、pitch運動で2/3まで低減される。 従って、前述した研究目標、目的はほぼ達成された。
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