2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19208028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 正一 Hokkaido University, 名誉教授 (10143314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 真由美 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50332474)
坂本 健太郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (80374627)
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Keywords | 環境汚染 / 野生動物 / プレデター / 化学発癌 / シトクロムP450 |
Research Abstract |
野生動物の場合、各々の動物種で実験動物とは異なる外来化学物質の代謝的活性化(毒性化)経路を持っており、実験動物のみの研究結果からそのリスクを外挿することは難しい。化学物質による生態系の破壊は、最も検知しにくく、しかも不可逆的な場合が多い。化学物質による「発癌」という状況は、これまでの予備的な調査からも、野生動物の間で、少しずつであるが、確実に進行していることは明らかである。化学発癌が生態系に与える影響については情報が無いが、その実態調査は獣医学領域における急務である。そこで、本研究では、ヒトが生産・放出する化学物質の希少大型野生動物への化学発癌リスクを初めて評価し、生物保全のための研究を推進する。 平成21年度は、変異原性を持つ化学物質の代謝活性化に寄与するシトクロムP450(CYP)1A1及びその調節因子の種差について明らかにした。特に、有蹄類では高いCYP1A1活性を有していること、その発現にカロテノイドが関わっていることなどを明らかにした。また、これらの種における臓器別の発がんリスクを比較した。また、CYP1ファミリーの分子進化について調べ、プロモーター領域の解析から、Arylhydrocarbon受容体(AhR)の発現調節を受けないことが予測される新規CYP1ファミリーを哺乳類で新たに同定した。また、その配列を調べたところ、一部のCYP1分子種は偽遺伝子化していることが明らかとなった。
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