2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19208028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 正一 北海道大学, 名誉教授 (10143314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 良徳 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (40543509)
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Keywords | 環境汚染 / 野生動物 / プレデター / 化学発癌 / シトクロムP450 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトが生産・放出する化学物質の野生/飼育動物への化学発癌リスクを初めて評価し、生物保全のための研究を推進することを目的としている。本年度は、計画通り、以下の4点について明らかにした。1)生物多様性に富む有蹄類(偶蹄目および奇蹄目)を中心に、サンプルの採集を行い、蓄積する化学物質の分析やシトクロムP450(P450)を中心に癌原物質の代謝的活性化能・解毒パスウェイについて調べた。偶蹄目では他の生物種と異なるP450の発現分布や汚染物質の蓄積が認められることが明らかとなった。2)動物園から、広範囲の動物のサンプルを収集し、癌原物質の代謝的活性化に重要なシトクロムP450分子種について調べた。特に、ネコ科動物を中心にP450やグルクロン酸抱合酵素に関する解析を行った。3)鳥類における外来異物の受容体についてその特性を明らかにした。これまで鳥類のモデル動物とされてきたニワトリは他の鳥類に比べて特異的にダイオキシンなど平面構造を持つ化学物質への反応性が高いことが分かっている。当該研究では、希少鳥類も含め、広範な種における同化合物への感受性を解析し、ニワトリ以外でも感受性が高い種を初めて見出した。4)野生げっ歯類の殺鼠剤に対する環境適応を明らかにするため国内から野生げっ歯類を採集し、殺鼠剤の標的となる遺伝子の多型について明らかにした。300匹以上のドブネズミおよびクマネズミに関して、国内の野生ネズミでは半数以上の個体に変異が認められることが明らかとなった。しかし殺鼠剤の感受性を決定する変異を持つ個体群はわずか数パターンに分類されることも示された。
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