2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷による複製フォークの進行阻害に対する細胞応答
Project/Area Number |
19209003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花岡 文雄 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (50012670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益谷 央豪 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (40241252)
大雲 剛志 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (50432505)
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Keywords | 遺伝子 / がん / DNA複製 / 放射線 / ゲノム |
Research Abstract |
研究代表者および研究分担者は、細胞が損傷によってDNA複製を阻害された場合、どのようなシグナルによってどの経路を選択するのかという点を中心に、細胞のDNA損傷への応答メカニズムの分子基盤を明らかにすることを目的として研究を行い、以下にまとあるような知見を得た。 これまでのわれわれのPolη複合体のプロテオミクス解析により、BRCA1が見いだされていたので、Polηとの直接的な結合か否かを検討したところ、他の何らかの因子を介していることが示唆された。そこで、クロスリンク修復経路におけるPo1ηの関与に着目し、ファンコニ貧血(FA)原因タンパク質とPolηとの相互作用について検討した。その結果、タグ付きPolηを安定に発現するHeLa細胞の可溶性画分およびクロマチン画分において、FANCA、 FANCD2、 FANCJ、 BRCA1がPolηと共沈する因子として検出された。さらにその細胞に紫外線照射後3時間で、これらのタンパク質すべてのクロマチン画分での回収量が増加した。したがって、DNAの損傷に応答して、PolηとBRCA1およびFA因子がクロマチン上で相互作用することが示唆された。 一方、DNAの複製が損傷によってブロックされたとき、それを回避するメカニズムとして損傷乗り越え複製・相同組換え修復、そしてテンプレートスイッチ反応の3つのメカニズムが存在すると考えられている。しかし高等生物において、テンプレートスイッチ反応の存在は未だ示されていない。そこで紫外線による損傷とSV40ウイルスの複製開始点を含むプラスミドDNAを鋳型とする無細胞DNA複製系を用いて、複製中間体の構造を2Dゲル法および原子間力顕微鏡を用いて観察した。その結果、いずれの方法においても、テンプレートスイッチ反応の中間体と考えられるチキンフット型の分子が低頻度ながらも観察され、高等生物においてもテンプレートスイッチ反応の存在が示唆された。
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Research Products
(4 results)