2010 Fiscal Year Annual Research Report
感染性浮遊粒子に対するバイオハザード対策用防護服の性能評価と用途基準に関する研究
Project/Area Number |
19209023
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
篠原 克明 国立感染症研究所, バイオセーフティ管理室, 主任研究官 (60117356)
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Keywords | 感染症 / バイオハザード対策 / バイオセーフティ / 防護服 / 感染性浮遊粒子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、バイオハザード対策用防護服の使用に際して、種々のリスクに応じて使用者の安全を確保するために必要な防護服の性能評価方法並びに性能基準及び用途基準の提案である。特に、呼吸器感染を起こす病原体に対する防護を重点項目とし、感染性浮遊粒子及び感染性飛沫に対する性能評価を行なった。 昨年度までは、化学粒子による防護性能を評価した。浮遊粒子の浸透防護における衣服内圧力の影響を検討するため、一定圧力を負荷する定圧型試験装置と変力変動型試験装置を用いて比較を行った結果、圧力変動が防護性能に大きな影響を与えることが確認された。 本年度はさらに、より現実的なリスク(浮遊感染性微生物曝露)に対する防護服素材の防護性能を検証することを目的とし、浮遊化学粒子と浮遊微生物(ファージおよびポリオウイルス(不活化、IPV))に対する防護性能を比較した。具体的には、定圧浮遊粒子浸透防護性能試験装置を用いて種々の防護服素材の防護性能試験を行った。 その結果、微生物粒子の場合の方が、化学粒子よりも高精度で浸透防護性能の比較ができることが判明した。微生物粒子の検出(バイオアッセイ)が、化学粒子の物理的浮遊粒子数計測よりも、感度が高いためと考えられた。その結果より、今後は、特に高い防護性能が要求される防護服に対しては、化学粒子による試験のみならず微生物粒子による評価を併用すべきであることが推奨された。 更に、液の滴下などの大きな圧力を伴わない軽微な負荷であれば、現存の多くの防護服素材でも充分な防護性能が発揮されることがわかった。 以上の研究結果を基に、バイオハザード対策用防護服の性能基準、用途基準を提案した。 さらに、防護性能や快適性を考慮した新機能防護服を試作し、研究結果の一部は、第8回日本防護服研究会学術総会(2011年2月、東京)にて発表した。
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Research Products
(3 results)