2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病のシステム解析のための分子プローブの開発:新しい画像診断法の構築
Project/Area Number |
19209041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐治 英郎 Kyoto University, 薬学研究所, 教授 (40115853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久下 裕司 北海道大学, 医学研究科, 教授 (70321958)
小野 正博 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (80336180)
河嶋 秀和 京都大学, 医学研究科, 助教 (70359438)
天滿 敬 京都大学, 薬学研究科, 助教 (90378787)
上田 真史 京都大学, 医学研究科, 助教 (40381967)
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Keywords | 痴呆 / 放射線 / トランスレーショナルリサーチ / 分子イメージング / 画像診断 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アルツハイマー病(AD)脳に発現する種々の病理変化に対応した放射性分子イメージングプローブの開発と、インビボ解析法を駆使したAD画像診断技術の確立である。平成21年度は、以下に掲げる標的を対象としたプローブを作製するとともに、ADにおける脳機能変化に関する臨床的知見を得た。 (1)BACE:新規放射性ヨウ素標識hydroxylethylamine isoster誘導体について、遺伝子導入細胞への取込みおよびマウスを用いた阻害実験でBACE結合性を確認した。(2)Aβプラーク:フッ素化flavoneおよびchalconeの誘導体を合成した。^<18>F標識した候補化合物は、静脈内投与後に脳への速やかな移行性と良好なクリアランスを示した。(3)COX-2:放射性ヨウ素標識lumimcoxib誘導体につき、正常脳組織への低い移行性と炎症部位への高集積性を明らかにした。(4)AChE:galanthamineを^<11>C標識し、ラット静脈内投与後にPET撮像を行った。本プローブの分布はAChEの脳内濃度に対応し、線条体を含む前脳部への高い放射能集積を認めた。(5)nAChR:α4β2型nAChRに高い親和性を有するA-85380の新規^<99m>Tc標識誘導体を合成し、ラット脳切片を用いたin vitro ARGを行った結果、nAchR密度に相関した分布を示した。(6)Caspase-3:cyclophosphamideを前投与したマウスに放射性ヨウ素標識isatin sulfonamide誘導体を投与し、caspase-3が発現する組織での高集積を認めた。 また、健忘型軽度認知障害(MCI)の状態にある高齢者を対象とした2-deoxy-2-[^<18>F]fluoro-D-glucoseを用いたPET検査にて、脳内複数の領域の糖代謝低下が、MCIからADへの移行を予測する因子として有用である可能性が示された。さらに、AD患者大脳皮質における^<123>I標識A-85380誘導体の分布容積が健常者に比して25%低下していたことから、脳に発現するnAChR密度の変化がAD脳病理を鋭敏に描出しうることが示唆された。
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