| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50218286)
林 美加子 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40271027)
高橋 雄介 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60397693)
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30243182)
|
|---|
| Research Abstract |
抗菌性モノマーMDPBの各種治療法への応用等に関する1〜5のプロジェクトについて.本年度は以下の成果が得られた。
1.歯髄保存療法への応用: MDPBおよびその他のレジンモノマーが象牙芽細胞様細胞の増殖と分化に及ぼす影響を,形態学的観察,MTTアッセイ,ALP活性測定等により評価したところ,モノマーによる抑制作用は分子量に依存しており,MDPBの抑制効果はBis-GMAよりも小さいことが明らかとなった。また,MDPB配合接着システムと水酸化カルシウム製剤による直接覆髄法の予後を比較するランダム化割付け臨床試験のプロトコールを確立し,試験を開始した。
2.根管治療への応用:寒天平板拡散法,MIC/MBC測定等の結果より,MDPBが根管内分離細菌に対しても非常に強い殺菌効果を有することが確認された。
3.外科的歯内療法・歯の再植療法への応用:MDPBおよびその他のレジンモノマーが骨芽細胞様細胞の増殖と分化に及ぼす影響を,形態学的観察,MTTアッセイ,ALP活性測定等により評価した結果,レジンモノマーの分子量が大きいほど抑制作用が強いことが分かった。また,MDPBを配合したアンフィルドレジンを試作し,硬さ試験,摩耗試験を行った結果,15%までの配合濃度では大きな影響は生じないことが分かった。
4,マルチパーパス接着処理剤への応用:MDPBを配合した数種のコンディショニング剤の作製を試みた結果,接着強さの点では水・HEMAをベースとしたものが最も実用的であることが分かった。
5.MDPBに対する耐性菌出現の可能性の検討:S. mutansを対象に,MDPBの接触時間と殺菌作用について検討したところ,数十秒以内での完全な殺菌を得るにはMBCの数倍濃度が必要であることや,極めて低濃度のMDPB存在下でも細菌の増殖活性がわずかに抑制されることが分かった。
|
