2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19251008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 信夫 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (30449342)
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Keywords | クメール陶磁 / 中国陶磁 / アンコール・トム / バイヨン寺院 / 考古データベース / 石材加工場 / 金属工房 / 陶磁器編年基準資料 |
Research Abstract |
平成22年度は、(A):バイヨン寺院南東外郭部の発掘継続(補足調査)、(B):アンコール地域関連陶磁資料の収集、(C):現地カンボジア人専門家への技術指導(発掘調査・遺物整理)および遺構図面の総合的集約、(D):鎮壇具など金属製出土品の簡易補強処理と鉛同位体分析、(E):花粉分析ほか自然科学分析に関してバイヨン外郭発掘調査時に土層を採取し、今後古期遺跡の植生環境分析のための予備資料とした。また炭化物が出土しており年代測定のための保管資料とする。(F):以上を踏まえた平成19-22年度の調査の報告書を作成、これらの項目を中心に調査・研究を実施した。とくに(A)遺構の分析や年代の構築に関する最新の成果として、バイヨン寺院創建の12世紀後半以後、14世紀前半にも大規模な土木工事を行った結果が出ており、従来の見解として14世紀以降の建設工事は小規模、小範囲とされていた学説とは異なる点も押さえられた。さらに寺院建設に伴う石材加工場や金属工房の一端も把握された。上記に関連して近年のカンボジア内で行われた考古資料にも注目した。フランスEFEOの調査による前アンコール期のロリオス遺跡、アメリカの調査によるプノン・バケン出土陶磁の分析も行い、前アンコールからポストアンコール期およびそれ以降における年代基準となる陶磁器編年の骨格を把握した。これによりクメール建築史に有用な陶磁編年研究の基礎が構築された事になる。平成21-22年度の調査成果は建築史、考古学においてとくに重要で、カンボジアにおける14世紀前半の遺構(建築)・遺物年代の定点資料をなすものであり、遺物整理を進め、詳細な報告書を作成する必要がある。
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Research Products
(3 results)