2008 Fiscal Year Annual Research Report
チベット高原横断鉄道による野生動物への影響に関する研究
Project/Area Number |
19255005
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
星野 仏方 Rakuno Gakuen University, 環境システム学部, 教授 (80438366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 光一 東京農工大学, 農学部, 教授 (70436674)
吉田 剛司 酪農学園大学, 環境システム学部, 准教授 (00458134)
本川 雅治 京都大学, 総合博物館, 准教授 (30293939)
伊吾田 宏正 酪農学園大学, 環境システム学部, 助教 (60515857)
亀山 哲 (独)国立環境研究所, アジア自然再生グループ, 主任研究員 (80332237)
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Keywords | チベット高原 / 野生動物 / 季節移動 / 哺乳類 / 地理的変異 |
Research Abstract |
平成20年度に実施できず平成21年度に繰り越したチベット高原における現地調査を7~8月に実施した。大型哺乳類の現地調査として、行動追跡調査のためチルーを2頭生体捕獲し、ARGOSシステムによる衛生テレメトリー(PTT発信器)を装着し、放逐した。これについては現在継続して衛星とインターネットを介したモニタリングを実施している。一方、平成19年に生体捕獲した別の2頭のチルーによる衛生テレメトリー追跡結果の解析から、平坦な高原草原を利用し、7月の出産期には三江源の越冬地から、チベット高原鉄道を横断し、ココシリに移動し、また越冬地に戻るという、往復的な季節移動をしていることが明らかとなった。それは200km以上にも及ぶ大規模な移動であった。さらにこの2頭は季節移動の際に、鉄道を最低4回と2回は横断していることが確認された。 平成20年度に実施予定で,平成21年度に延期された小型哺乳類の現地調査を2009年7月~8月に行った.調査許可が得られた,青海チベット高原での小型哺乳類の分布実態を詳細に明らかにすることを目的として,中国側共同研究者と共同して,西寧-トト河間各地での,小型哺乳類のサンプリングによる分布状況(特にナキウサギ類とマーモット類、合計82頭を捕獲した),野生動物分布に関連した生態環境,青海チベット高原におけるナキウサギ類の微少生息環境のデータを収集した.得られた小型哺乳類の標本資料について形態学的手法をもとに種同定を行い,地域変異の有無等について解析した.また,外部寄生虫,内部寄生虫については分析用標本を作成し,正確な種同定に基づく感染実態について調査した. リモートセンシングとGISの解析は、今まで蓄積した2頭のチルーのデータを基に行動圏の解析を行い、チルーが越冬地から繁殖地に向かう途中、及び繁殖地から再び越冬地に戻る時の、鉄道による影響を解析し、時間的な「遅れ」、空間的な「遠回り」などのパターンを明らかにしている。
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