2010 Fiscal Year Annual Research Report
家畜・野生動物を感染源とする人アフリカトリパノソーマ症の実態調査と病原因子解明
Project/Area Number |
19255015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉本 千尋 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (90231373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶野 喜一 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 准教授 (80322147)
中村 一郎 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 講師 (20374241)
井上 昇 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (10271751)
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Keywords | アフリカ / トリパノソーマ / ツェツェバエ / 病原性 / ゲノム |
Research Abstract |
本調査ではアフリカにおいて牛を主要なレゼルボアとしヒトに感染するTrypanosoma brucei rhodesienseの分子疫学的調査を主目的として実施している。今年度はザンビア、スーダン、ガーナにおいて試料収集ならびに解析を行った。ザンビアにおいてヒトトリパノソーマ症発生地域が特定できたことから、同地域においてツェツェバエ採取、周辺農家での飼育動物の調査と血液採取を行った。これらから抽出したDNAをPCR、LAMP法でトリパノソーマ原虫保有状況を検査した結果、Glossina morsitansで高率にSRA(Serum Resistance-associated Protein)遺伝子陽性のT.brucei rhodesienseが検出された。同試料に含まれる血液DNAの由来動物種を同定した結果、ヒト以外にイボイノシシ、クドゥーなどのDNAが検出され、これらが吸血源になっていることが明らかにできた。また、ツェツェバエ唾液腺から原虫分離を試み、3株のSRA陽性株を得ることができた。こららの株と1980年代に分離されたヒト由来株等との異同を明らかにするため、マイクロサテライト解析をグラスゴー大学と共同で実施した。スーダンにおいて採取したラクダ血液DNAからT.enansiの検出とマイクロサテライト解析を行った結果、採取した4地点での原虫集団に違いがあること、またナイル川を挟んだ2地域で原虫集団が遺伝学的に区別できることなど、興味深い結果が得られた。さらに、アフリカにおける重要な家畜感染症である心水症の原因病原体Ehrlichia ruminantiumを検出する等温遺伝子増幅法を開発し、野外試料(マダニ、血液)DNAを用いた分子疫学調査も実施した。
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Research Products
(10 results)