2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞の分化誘導のための微量薬剤放出制御デバイスの構築
Project/Area Number |
19300161
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 隆 Kyushu Institute of Technology, 大学院・生命体工学研究科, 准教授 (80270883)
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Keywords | マイクロ流体デバイス / マイクロ流路 / 微小孔 / ナノバイオ / 神経幹細胞 / 分化誘導 |
Research Abstract |
微小孔を通じた薬剤放出により培養細胞への化学刺激を行う技術と、シースフローにより微量液体をハンドリングする技術を組み合わせて、細胞への薬剤刺激のプロファイルを時間的かつ空間的に制御可能なマイクロ流体デバイスを構築した。まず、シリコン基板を微細加工することにより、底面に内径2μm程度の微小孔を24個×24個のマトリックス状に有する細胞培養チャンバを製作した。この際に、細胞の観察を容易にするために、培養チャンバの底面を厚さ1μm程度の透明な窒化シリコン薄膜で形成し、プラズマエッチングによりその薄膜内に微小孔を多数形成した。次に、シリコーン樹脂の成型により、培養チャンバ底面の直下にマイクロ流路を構築した。マイクロ流路には3個の液体導入ポートより液体を導入し、真ん中の流体を両脇の流体で挟んだ3層流から成るシースフローを形成した。真ん中の流体として刺激薬液を導入し、両脇の流体としてバッファー液を導入して、これらの流体の流量及び流量比を調節することにより、真ん中の薬液が流れる位置や幅を制御することができ、これにより所望の場所の微小孔より、所望の時間だけ、薬剤を培養チャンバ内に拡散放出することが可能となった。以上のデバイス性能を評価するために、蛍光色素を用いた実験により薬剤放出特性の評価を行った。また、培養チャンバ表面を細胞非接着面とし神経幹細胞の未分化状態での培養を可能とするために、チャンバ表面にポリエチレングリコールを修飾する技術を確立した。実際に神経幹細胞を培養チャンバ内に播種する実験により、細胞がチャンバ表面に接着して分化を起こすことなく、球状の凝集塊であるニューロスフェアを形成することを確認した。
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