2009 Fiscal Year Annual Research Report
重症呼吸不全患者に対する能動的薬剤治療を可能とする完全液体呼吸システムの開発
Project/Area Number |
19300187
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
舟久保 昭夫 Tokyo Denki University, 理工学部, 教授 (00307670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大越 康晴 東京電機大学, 理工学部, 助手 (10408643)
福井 康裕 東京電機大学, 理工学部, 教授 (60112877)
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Keywords | 液体呼吸 / 呼吸不全 / 人工肺 / 気道内圧制御 / ガス交換能 / 能動的治療法 / Perfluorocarbon / 多目的遺伝アルゴリズム |
Research Abstract |
本研究では,酸素溶解度の高いPFC(Perfluorocarbon)を用い,優れたガス交換能を有する完全液体呼吸(Total Liquid Ventilation : TLV)専用人工肺の開発および生体肺に損傷を与えない高い安全性を有するTLVシステムの開発を行った.TLV専用人工肺の開発においては,数値流体解析(Computational Fluid Dynamics : CFD)と多目的遺伝アルゴリズム(Multi-Objective Genetic Algorithm : MOGA)とを統合した最適化手法を用い,設計,試作および評価を行った.in-vitroによる性能評価実験により,人工肺膜部におけるPFCの停滞・偏流は確認されず,尚且つ,TLVに必要とされる二酸化炭素分圧(PCO_2)を常時5mmHg以下に保つことが可能であった.これにより,ガス交換能に優れた人工肺の開発に成功した. TLVシステムの開発においては,日本白色家ウサギ(体重:2.9±0.2kg, n=3)を用いたex-vivoにおける呼吸条件に関して検討を行った.その結果,3体全てにおいて目標値とする3時間の施行を可能とした.また,施行中の動脈血酸素分圧(PaO_2)は400mmHg以上,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO_2)は40mmHg前後であり,正常範囲内を維持することが可能であった.しかし,個体差によるPaCO_2およびPaO_2の変化量が局所的に大きくなることがあり,一定したPFCの換液(注入・排出)を行うことが困難であった.これらの結果より,生体肺に換液する呼吸条件やPFC特有の特性がガス交換率に影響を与えている可能性があり,生体肺におけるPFCの分布について着目し,各ウサギの生体肺に送るPFCの適切な換液条件の検討が必要であると示唆された.
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