2009 Fiscal Year Annual Research Report
視空間認知障害用バリアフリー機器開発のための視覚情報呈示方法に関する福祉工学研究
Project/Area Number |
19300203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 敏明 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (40248670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (70002102)
武田 秀勝 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10048134)
泉 隆 東海大学, 生物理工学部・生体機能科学科, 教授 (80193374)
敦賀 健志 北海道工業大学, 福祉生体工学科, 准教授 (60337011)
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Keywords | 視空間認知障害 / バリアフリー機器 / 視覚情報呈示 / 福祉工学 / 神経工学 |
Research Abstract |
平成20年度は、平成19年度に製作した新型CCDカメラ付きHMD (Head Mounted Display)による視覚呈示方法システムを用いUSNにおける座標系障害(身体中心座標と物体中心座標)を明らかにすることとした。特に、身体を中心に対象物の方向を位置づける身体中心座標と身体以外の対象物,または自分以外の物体を中心に位置づける物体中心座標条件をCCDの設置方法で人工的に作り,机上検査と動作分析によりUSN障害像について検討を進めた。 そこで、平成21年度は、バーチャル酔いを考慮しながら左右眼での視差調整機構を追加し3次元での空間無視評価と行い、より動的条件下での視空間認知障害を代償可能とする画像呈示方法を検討することとした。 具体的実験および成果としては、HMDの効果を分析するため、多様な空間無視を認める脳卒中患者10名を対象とした。なお、被験者はリハビリテーションの経過に合わせて数週間ごとに通常検査およびHMDによる特殊検査を行なった。結果として、空間無視が減少する傾向としては、視覚情報を75%に縮小しかつ右視野へ投影する、または左側への矢印による注意喚起する方法によりHMDの効果を認めた。HMDによる特殊検査は通常検査に比べ、よりUSN障害度を統合的に評価できるシステムであり、特に画面縮小、注意喚起用矢印などを加工してHMDによる視覚情報呈示を行うことにより無視環境を改善させ得る可能性を見いだした。次に、3次元HMDによるUSN検査・訓練を被験者4名に実施した。結果として、HMD有無での日常生活活動におけるUSNの有無は、HMD有りでは無しの通常条件に比べ、USN症状は約半減した。また3次元HMDによる注意喚起および視覚情報縮小を用いた訓練では初回評価・再評価の比較によりUSN検査スコアーが改善した。さらに、3次元HMDに関しては健常人10名、USN患者5名に関して3次元HMDの装着時用モニターも実施し以下の結果を得た。(1)装着感では支障なく、(2)HMDの重さ(250-300g)は問題ない、(3)バーチャル酔い(発汗、吐き気、頭痛、めまい等)も生じなかった。(4)全員が3次元画像を認知可能であった。これによりHMDによる検査・訓練においては、机上や安定した座位姿勢等での検査、日常生活に必要な訓練には支障を来さないことが確認できた。 以上より、HMDを用いた半側空間無視検査により空間無視に関する障害をより正確に把握し、多様な視覚呈示(拡大縮小、矢印注意喚起)方法による新しいUSNに対する検査・訓練の確立が期待された。
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Research Products
(9 results)