2009 Fiscal Year Annual Research Report
セントラルコマンドは運動時の脳血流量を制御するのか?
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19300206
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
定本 朋子 Japan Women's College of Physical Education, 体育学部, 教授 (30201528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 寛二 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (90165788)
佐藤 耕平 日本女子体育大学, 体育学部, 講師 (00409278)
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Keywords | 大脳皮質運動野周辺 / 酸素化動態 / 運動準備期 / 椎骨動脈 / 内頸動脈 / 腎動脈 / 中脳腹側被蓋野 / 中脳黒質部 |
Research Abstract |
I.ヒトにおける研究:運動準備期・開始直前に働くセントラルコマンドの影響 運動準備期(約1分前から)の大脳皮質運動野周辺の脳酸素動態(近赤外分光法)と心拍数、血圧および前腕屈筋群の酸素動態を同時計測し、運動準備に関連した皮質活動と循環応答の対応性を検討した。その結果、運動準備による大脳運動野周辺の活性は、実際に発揮される運動強度に対応した変化を示し、その変化は心拍数および運動肢となる主働筋の筋酸素化ヘモグロビンの増加に対応していることが示された。随意運動と他動運動に伴う脳血流量を、内頸動脈経路(主に大脳皮質側頭葉、前頭葉、頭頂葉、島皮質へ潅流)と椎骨動脈経路(主に延髄、小脳、後頭葉へ潅流)において比較した。その結果、椎骨動脈経路において、随意運動開始前の動作に先行する血管拡張がみられた。つまり動作に先行して発生するセントラルコマンドは椎骨動脈経路が潅流する脳部位に働くことが示唆された。同様の実験を、腎動脈および上腸間膜動脈(主に消化器官へ血液を送る)において行ったが、いずれの動脈経路においても予測制御に伴う変化は見られなかった。 II.動物における研究:セントラルコマンドの発現機構 セントラルコマンドの発生源と経路に関する検討を行う.ドーパミン産生細胞の一つである中脳腹側被蓋野(VTA)ニューロンがセントラルコマンドの発現に関与するという仮説を調べるために、無麻酔除脳ネコを用いて自発運動時のVTA局所血流量を記録した。自発運動の開始と同時あるいは先行してVTA血流量は増加したが、中脳黒質部の局所血流量には変化がなかった。このことから、中脳腹側被蓋野ニューロンがセントラルコマンドの発現に関与するという仮説が支持された。
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