2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウイグルマッチング法による木製文化財の高精度年代推定のための必要条件の検討
Project/Area Number |
19300300
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 俊夫 Nagoya University, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 直人 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60240800)
奥野 充 福岡大学, 理学部, 准教授 (50309887)
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
木村 勝彦 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70292448)
南 雅代 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
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Keywords | 年代測定 / 放射性炭素 / ウイグルマッチング / 加速器質量分析 / 木製文化財 / 年輪年代 / 白頭山火山 / 円形木柱列 |
Research Abstract |
研究計画2年次目として,暦年代がほぼ決まっている樹木年輪試料について,14Cウイグルマッチングの適用研究を進めた.真脇遺跡環状木柱列は,BC3千年紀前半に形成されたもので,6個の環から構成されている.古い環に属する木柱2点の現存最外年輪年代はウイグルマッチングにより800-780calBCとよく一致した.もっとも新しい環に属する木柱では,較正曲線IntCa104の14C年代変動幅が小さい区間に属することもあり,ウイグルマッチングでも最外年輪年代を決めるのが難しい.68%の信頼区間をとると,710-680calBCとなり,環状木柱列文化の存続期間はほぼ100年であることを推論した. 次に,白頭山火山の10世紀の巨大噴火(B-Tm)に関連する炭化木片のウイグルマッチングによる噴火年代の高精度推定については,Nakamura et al(2007)でcalAD935+8/-5と公表したが,今回更に3本の炭化樹木(樹皮付き)を用いて追従実験を行ったところ,calAD935-962の間に推定年代が広がることが認められた.ウイグルマッチングを用いても,この程度の誤差幅は致し方ないのかもしれない.今後,複数回の噴火の可能性も考慮して解析を進める必要がある. 木材の保存にもちいられるPEG保存処理がすでに実施された樹木試料の14C年代測定の可能性を調べるために,10年前頃にPEG処理が施された,年代が既知の試料について14C年代測定を進めた.試料の洗浄処理に時間がかかり,14C測定はまだである.まもなく,14C年代を得て,正確な年代測定の可否を述べることができよう.
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