Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松倉 公憲 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80107341)
斉藤 享治 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60170495)
高橋 日出男 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (40202155)
山下 亜紀郎 酪農学園大学, 環境システム学部, 講師 (60396794)
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Research Abstract |
1:長野県と新潟県で近年崩壊が発生した地域を対象に,レーザ計測で取得した高解像度地形データを分析し,斜面上の開析前線と尾根領域を自動抽出した.その結果と崩壊発生との関連を多変量解析により検討し,地形条件の崩壊への関与を指摘した.また,今後温暖化により豪雨強度が増した場合に,崩壊が発生しやすい場所を予測した.2:日本と台湾の扇状地と上流域の地形を比較した.その結果,扇状地の地形よりも上流域の地形に相対的に大きな差異が認められた.その結果をもとに,今後豪雨強度が増加した場合に生じる流域の地形変化を予測した.3:北海道日高地方における表層崩壊発生と地質条件の関係を検討した.レキ岩地域では小さな降雨イベントでも表層崩壊が発生し,崩壊後には短期間で不安定な土層が形成される.凝灰質泥岩地域では急傾斜な斜面下部に限って小規模な崩壊が発生する.泥岩・シルト岩地域では乾湿風化により土層が厚く,その透水性が高いため,強い豪雨の際にのみ大規模な崩壊が発生する.4:日本,台湾,フィリピン,ニュージーランドを対象に,土砂災害が生じやすい扇状地の条件を検討した.9因子・39条件のなかで「起伏量2000m以上」の寄与が最も強く,次いで「気候条件が東北・中央日本」,「同台湾」が寄与していることが判明した.5:約1km格子のレーダーデータを用いて,南関東周辺における強雨域の空間構造を検討した.東京・埼玉県境付近では強い降水が狭い範囲に集中する傾向があるが,伊豆半島付近では,強い降水が一様に広がる傾向があり,強雨域の特徴に明瞭な地域差が認められた.6:主に長野県を対象に、公助・共助・自助の相互関係という観点から,地域の総合的な防災力を検討した.その結果,公助から共助へ,そして共助から自助へという2段階の防災意識の啓発と,アナログで簡便な情報伝達手段の重要性が明らかになった.
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