2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島を挟む2定点での海洋生態系変化と微量元素循環の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
19310001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
乗木 新一郎 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80109511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 昌幸 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 室長 (80371839)
乙坂 重嘉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学部門, 研究員 (40370374)
南 秀樹 北海道東海大学, 工学部, 准教授 (60254710)
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Keywords | 西部太平洋 / 日本海 / セジメントトラップ / オパール / 有機炭素 / 鉄 / マンガン |
Research Abstract |
西部太平洋と日本海の海洋環境を比較する為に、(1)2定点(北緯44度、東経155度:水深5200mと北緯41度,東経138度:水深3600m)に平成18年5月に設置したセジメントトラップ係留系を計画通りに19年5月に回収して、それぞれの地点で一年間2層約一ケ月毎の沈降粒子試料を得た。また、(2)引き続き一年間の試料を採取するために、同じ地点に係留系を再設置した。(3)粒子の主成分・微量元素分析を担当する分担者間で、標準試料を用いて、相互検定を実施した。(4)採取した沈降粒子をろ紙上に集め、乾燥して重量を測定した。西部太平洋の観測点では、(1)6月から7月に大きな沈降粒子束が観測され、その主成分は生物起源のオパールであった。この時の微量金属成分を分析して生物生産との関連を明らかにする予定である。 日本海の試料については、今年度の試料は放射性成分の計測のために保存しておき、まず、既存の試料の化学分析を開始した。(2)沈降粒子に含まれる有機炭素について、放射性炭素同位体比を測定した。有機炭素の「見かけの年齢」を示すデルタ値は、-130〜+1パーミルで、東部日本海盆の深層における沈降有機炭素のうち、約半分が周辺から集められたものであると推測した。(3)1999年〜2000年の観測において、2000年3月に大きな粒子束が観測された。オパール粒子束が極大であり珪藻ブルームと考えられる。(4)また、この時、一つ前の観測期間である、2月の試料のMn/Alが極小値を示し、黄砂の供給が示唆された。(5)それに比べて、Fe/Al比が年間を通してほぼ一定であることが明らかになった。これは、関係者の間で課題となっている、鉄の供給と生物生産との関係を考えるうえで、重要な事実である。
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