2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島を挟む2定点での海洋生態系変化と微量元素循環の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
19310001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
乗木 新一郎 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80109511)
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Keywords | 西部北太平洋 / 日本海 / セジメントトラッブ / 生物起源元素 / 陸起源成分 / Al / Mn |
Research Abstract |
西部太平洋の定点(44°00' N155°00' E : 水深5200m)において、平成19年5月に設置したセジメントトラップ係留系を計画通りに平成20年5月に回収した。一年間、2層において約1ヶ月毎の沈降粒子を得た。また、日本海の定点(41°00' N138°00' E:水深3600m)に平成19年5月に設置したセジメントトラップ係留系を計画通りに平成20年5月に回収して、一年間2層約一ヶ月毎の沈降粒子試料を得た。引き続き一年間の試料を採取するために、同じ地点に係留系を再設置した。得られた試料は、ろ過、乾燥の後、重量を測定して分析に供した。 日本海において、海洋環境と沈降粒子の化学成分の変化を明らかにするために、既存の1999年から2001年の試料の化学分析を行い、1984年9月に日本海東部で実施したセジメントトラップ実験(40°49' N138°41' E : Masuzawa, et.al., 1989)の結果と比較した。さらに、日本海盆東部(42°28' N138°30' E)と大和海盆(39°30' N 136°30' E)で得たデータも使用した。全粒子束の他に、主に水深1km層のトラップで得られた化学成分のデータを用い、t-検定(有意水準5%)によって「15年間の経年変化」の有無を判定した。全粒子束、生物起源元素の濃度、Fe/Al比やSc/Al比には系統的な変化が見られなかった。Ca/Al比はわずかに増加した、Sr/Al比やBa/Al比は有意に減少した。La/Al比は減少傾向を示した。また、Mn/Al比、Co/Al比、およびZn/Al比のいずれも有意に減少した。これらの結果から、1. 生物起源粒子の変化に比べ、陸起源成分変化がより顕著であること、2. アジア大陸起源粒子の構成比が減少した可能性があること、3. 沿岸域から海盆内部への粒子輸送過程が変化したことなどが示唆された。
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