2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療用放射線トラック解析へ向けた生体内分子の電子衝突断面積の決定
Project/Area Number |
19310033
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊達 広行 Hokkaido University, 大学院・保健科学研究院, 教授 (10197600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 博一 北海道大学, 苫小牧工業高等専門学校・電気電子工学科, 教授 (20106131)
酒井 正春 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (50162269)
|
Keywords | 放射線 / 量子ビーム / 生体高分子 / 電子衝突断面積 / 電子線トラック解析 / 電子スオーム法 / ATS実験 / 電子スオームパラメータ |
Research Abstract |
本研究は、放射線照射による生体細胞の損傷をミクロなエネルギー付与の観点から調べることのできる電子線トラック解析に必要な生体構成分子の電子衝突断面積を、電子スオーム法によって決定するためのfeasibiHty studyを行うことを目的としている。電子スオーム法では、二重シャッタ電極を用いた電子到着時間分布(ATS : Arrival-Time Spectra)法を基本として、電離係数などのマクロパラメータ(スオームパラメータ)を実験的に測定する一方、この測定に対応した電子群のシミュレーション解析にてパラメータを算出する。また、生体物質中での電子線の飛跡解析を行ない、エネルギー付与過程を定量化する。今年度は、構築した実験系によって、スオームのタイムオブフライト(TOF)観測をこの分野で初めて実現した。また、水中電子線トラックシミュレーションによって、電離や励起事象が空間的に凝集して起こる現象を定量的に解析した。 本年度における実施内容を以下に列挙する。 (1) 新しい真空チャンバ内二重シャッタ電極の移動観測によって、メタンガス中にて電子スオーム重心の移動速度を実験的に決定し、フーリエ変換型ボルツマン方程式による解析結果と比較したところ、よい一致が確認された。この成果を、J. Appl. Phys. 誌へ投稿して、現在minor revisionsに対する改訂の結果を待っている状態である。 (2) 水中電子線トラック解析にて、DNA損傷を高い確率で引き起こすと考えられる電離・励起のクラスタ事象を、AI(aggregation index)という指標を導入して定量化した。この結果を国際会議で発表すると共に、Nucl. Instr. Meth. B誌へ投稿し発行された。
|
Research Products
(8 results)