2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域研究における「地域」の可塑性と重層性に関する比較研究
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19310153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 正丈 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60114716)
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Keywords | 地域研究 / 国際関係論 / 地域 / 国民国家 / 地域文化 |
Research Abstract |
本研究は自明とされがちな「地域」という概念自体を再検討し、地域研究の実践とどのような関連をもっているのかについて、様々な地域を研究対象としている10人の地域研究者が比較を試みることを目的としている。研究の実施に当たっては、(1)文献収集と文献データの作成、(2)研究対象とする現地調査、(3)地域研究者の交流、(4)問題意識の共有と統合の4点に沿って活動を続けている。平成20年度は本研究の中間年度であり、(1)については、それぞれが研究対象とする地域がどのような地域としてのフレームを有するのかという観点から関連文献の収集を継続させた。(2)、(3)については、台湾とバルカンで調査が行なわれ、現地研究者との密接なネットワークが築かれた。(4)については、数回の研究会を実施した。なかでも、外部の地域研究者として、百瀬宏(津田塾大学名誉教授)氏の「歴史の中で地域・文化・国際関係を問う」と板垣雄三(東京大学名誉教授)氏の「『地域研究』の位相空間一体験的試論」の貴重な報告を聞く機会を得た。地域研究の教育実践を踏まえた両氏の報告は、初年度の研究会の報告とともに小冊子にまとめて、中間報告書を作成した。共同の比較研究においては、問題意識の共有と統合がきわめて重要であり、最終年度も研究会を積み重ねたうえで、まとめのシンポジウムを開催して論文集を作成する予定である。
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