2008 Fiscal Year Annual Research Report
多言語地域における言語教育カリキュラムの開発-日越地域共同研究-
Project/Area Number |
19310158
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
村上 呂里 University of the Ryukyus, 教育学部, 教授 (40219910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶村 光郎 琉球大学, 教育学部, 教授 (70255016)
那須 泉 琉球大学, 法文学部, 非常勤講師 (20381204)
西岡 尚也 琉球大学, 教育学部, 准教授 (60336360)
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Keywords | 母語使用法 / 日本語国際学級 / 民族寄宿学校 / 学習者主体 / 内なる国際化 / バイリンガル教育 / 多言語社会 / 識字教育 |
Research Abstract |
多言語地域における言語教育カリキュラムの開発にあたり、本年度は第3回研究会を東京都大久保小学校で、第4回研究会をベトナム中部のダラットで行った。第3回研究会においては、西岡尚也が「日本における言語地図と異文化理解・多言語教育の状況」について報告し、ベトナム人研究者と日本における多言語教育の課題について意見交換を行った。つぎに言諾的少数者が通う日本語国際学級の日本語の授業をベトナム人研究者とともに参観し、授業研究会を行った。学習者が主役の授業観そのものがベトナム人研究者にとっては新鮮であったようで、「母語使用法」「物や動作を使う方法」「パターン習得法」「コミュニケーション環境創造法」等の表現でこの授業を積極的に評価していた。これらはカリキュラム開発の上で重要な観点となるであろう。なおベトナム人研究者に、この授業に関する考察を文章化してもらい、中間報告書に掲載した。ここで討議された内容・観点を土台とし、来年度はベトナム・タイグェン省少数民族地域にあるクックドゥオン小学校で実験授業を行ってもらい、カリキュラム開発に向けた実践を積み上げていく予定である。 これまでは比較的先進的な取り組みをしているベトナム北部をフィールドとしていたが、ベトナムの言語教育の現況をより正確に認識するために中部のダラットを訪問した。まず少数民族の幹部候補生が通う民族寄宿学校を訪問し、少数民族学生の学力問題等の課題についてインタビュー調査を行い、言語問題を契機として学校をやめていく学生がいることなどの問題の存在を確認した。つぎに少数民族出身の教師によるターヌン小学校におけるベトナム語の授業を参観し、未だ教師主導型の授業が一般的であり、少数民族の子どもたちが授業についていけない状況があることが確認された。 以上をもとに中間報告書を作成し、村上呂里「多言語多文化教育を切り拓く『ことばの学力』論」、西岡尚也「『内なる国際化』がすすみ日本社会と識字教育」の論考を掲載した。
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Research Products
(1 results)