2009 Fiscal Year Annual Research Report
ベルクソン『創造的進化』の総合的研究-受容史的背景を踏まえた西洋哲学研究の再構築
Project/Area Number |
19320006
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
安孫子 信 Hosei University, 文学部, 教授 (70212537)
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Keywords | 生の哲学 / 生政治学 / 生命倫理学 / 心身問題 / ベルクソン / フランス思想 / 西洋哲学 / 比較思想 |
Research Abstract |
科研費研究の3年目も実り多い1年であった。本年も研究活動は、前2年同様に、秋10月に設定された国際シンポジウムを軸にして展開された。すなわち、大きくは、シンポジウム以前はそれへの準備、それ以後はそれの総括にあてられた。初年のシンポジウム「生の哲学の今」では西洋におけるベルクソン受容と日本におけるそれとの突き合わせが、二年目のシンポジウム「東アジアにおけるベルクソン」では東アジアにおける受容と日本におけるそれとの突き合わせが行われたが、最終年である本年シンポジウムでは、「生の哲学の行方」をテーマに、一年目・二年目の集成を、海外東西の複数の研究者を再度の招請する形で、行っていった。20世紀を開く哲学書の一つであったベルクソン『創造的進化』(1907年)を、21世紀の幕が開いて10年の今日、改めて、哲学・科学・技術・芸術・政治をめぐる諸問題にぶつけてみて、同書での<生>の概念が今日なお新たな意味を持ちうるのかいなか、また、持ちうるとしてどのような意味をなのか、が探られていった。世界各地でのベルクソン再読の今日の機運が示していることはあるが、ここで結果として確認されていったのは、(a)身体と精神、(b)物理的なものと歴史的なもの、(c)全体的なものと個体的なもの、(d)静的なものと動的なもの、(e)現実的なものと想像的なもの、(f)社会的なものと個人的なもの、などなど、人間と世界を今日ますます切り裂いている様々の二項対立の狭間に<生>はあり、『創造的進化』は、その<生>が、それら対立する二項を、独自かつ創造的な仕方でつなぎ融合させる様を提示している、ということである。そのような<生>のリアリティを再発見していく道として、本研究が敢えて遂行した、文化的コンテキストを破っての哲学研究が方法として有効であることも、また合わせて確認されていったことであった。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 西周と心身問題2009
Author(s)
安孫子信
Organizer
国際シンポジウム<人体と身体性>
Place of Presentation
フランス・アルザス・欧州日本研究センター
Year and Date
2009-11-02
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