2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320020
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
井上 厚史 The University of Shimane, 総合政策学部, 教授 (90259565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 敬司 広島大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (40253124)
木村 純二 弘前大学, 人文学部, 准教授 (00345240)
吉田 真樹 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (20381733)
菅原 光 専修大学, 法学部, 講師 (90405481)
長妻 三佐雄 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (80399047)
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Keywords | 東アジア / 比較思想 / 「天」の観念 / 文明の衝突 / 近代化 / 荻生徂徠 / 李退渓 / 康有為 |
Research Abstract |
当初の計画通り、8月に「打ち合わせ会議」を開催し、本研究プロジェクトの趣旨と今後の進め方についてあらためて確認した。本研究は日中韓東アジア三国の前近代から近代にかけての思想の変容を扱うというスケールの大きなプロジェクトではあるが、研究者は各々の専門領域における研究を尊重し、その分野から抽出できる「天」の観念を自由に紹介し合い、その結果として、日中韓それぞれの近代化の特徴および差異が描き出せるように研究会を積み重ねることで合意した。 12月に「第一回研究発表会」を開催し、以下の発表を行った。 【日本前近代】〜「伊藤仁斎における天」(木村純二) 【韓国前近代】〜「韓国性理学派の「天」の思想-「天」と「心」の関係を中心に-」(井上厚史) 【中国前近代】〜「王陽明の「天」について」(橋本啓司) 研究討論の結果、それぞれの発表は当初の予想に反し、様々な問題点を提起することになった。たとえば、(1)伊藤仁斎の「天」解釈は、程明道のそれと極めて類似している部分があること、(2)李退溪の思想は、朱子よりも王陽明の思想に近い部分があること、(3)王陽明が韓国や日本に及ぼした影響は、いわゆる「陽明学派」だけにかぎられるものではないということ、などである。これは、つまりこれまで日中韓で「天」を巡る議論がいかになされてこなかったかということの証明でもあり、特に韓国儒教をどう解釈するかは、本研究の大きな課題となることが予想される。 次年度は、この研究成果を踏まえて、前半で前近代の「天」の解釈について日中韓それぞれ別の立場からの発表を行い、前近代における各国の「天」観念の特徴をまとめる。次に、後半ではいよいよ「西洋の衝撃」による三国の伝統思想がどのように変容していくかについて、「天」を中心に討議を重ねる予定である。
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Research Products
(3 results)