Research Abstract |
本年度は以下の4項目に重点をおいて研究を実施した。 (1)研究体制の整備:効率的に研究を進めるために,研究体制を確立した。当初の計画では,総括,分析班,中国語班,周辺言語班の3グループに分かれて研究を行う予定であったが,コミュニケーションや分業の手間がかかることが判明したため,排他的なグループを設定するのではなく,研究代表者と研究分担者が3つのテーマのうちの1つに重心を置きつつ連携することとした。 (2)研究支援システムの試用:本課題のホームページを開設し,研究連絡等に活用した。また,データ共用の実験もおこな其った。 (3)研究の現状の把握:6月14日に来目中のロンドン大学P.Austin教授を招き,ダイクシスをはじめとした言語現象の基礎的記述に関して意見交換をおこなった後,3回の研究会(7月13日,12月1日,3月17日)を開催し,研究代表者,分担者,協力者の全員が,それぞれの分担領域について発表し,意見交換をおこなった。また,ダイクシスに関する国内外の文献を広く渉猟し,特に重要な数十点を購入した。 (4)国外,国内における予備調査:中国,新彊ウイグル自治区においてシベ語,ウイグル語のダイクシスに関して,予備的調査をおこなった(8月,9月)。 以上の活動を通じ,指示対象の実体化,指示表現と空間と時間との関係,地形や方向が空間認知に与える影響,ダイクシスと主観性などの基本的テーマについて考察するとともに,指示詞の連接機能や個体化,逆行構文,証拠性のような文法現象についても検討した。
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