2009 Fiscal Year Annual Research Report
「隣語大方」の新研究-早稲田大学服部文庫所蔵「朝鮮語訳」に着目して-
Project/Area Number |
19320061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸田 文隆 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 教授 (30251870)
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Keywords | 隣語大方 / 朝鮮語訳 / かな書き朝鮮語 / 全一道人 / 対馬宗家文書 / 分類紀事大綱 / 倭館館守日記 / 「韓牘集要」 |
Research Abstract |
本研究においては、「隣語大万」の所拠資料である早稲田大学服部又庫所蔵の「朝鮮語訳」全3巻の解読と文献学的検討(他の関連諸資料との照合)および言語学的検討を実施し、また、「朝鮮諸訳」のデータベースを作成する計画であるが、本年度は、以下の研究・作業を実施した。 まず、解読については、「朝鮮語訳」第1、2巻の対話編につづき、第3巻の小説篇にとりかかり、その半分程度の解読をえた。 つぎに、文献学的検討については、「朝鮮語訳」と同じく「隣語大方」の所拠資料のひとつと考えられる「韓牘集要」につき、該書にあらわれる人名および文例を、「訳科榜目」などの歴史資料と照合し、該書がだいたい1732年頃に成立したものであるとの結論を得た。その成果は、訳学書学会創立大会で発表した。 言語学的検討については、本書の朝鮮語かな表記、とくに朝鮮語の語頭複子音の「日(b)-」、「人(s)-」に対し小書きのかな「フ#」、「ス#」を当てた例についての検討をおこなった。その分布が音声的な環境にしたがっていることから、実際の発音をあらわしたものと見られること、語頭複子音の「人(s)-」を濃音のダイアクリティックマークと見る通説をくつがえす重な根拠となるものであることを明らかにした。その成果は、第224回朝鮮語研究会、韓国国語学会50周年記念大会において発表した。 データベースの作成については、本年度解読をおこなった「朝鮮語訳」小説篇の1a-30aまでを入力し、デジタルデータを作成した。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
岸田文隆
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Journal Title
朝鮮半島のことばと社会-油谷幸利先生還暦記念論文集(「語学書と歴史記録--早稲田大学服部文庫所蔵「朝鮮語訳」と対馬宗家文書との照合」を分担)(明石書店)
Pages: 236-268
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