2010 Fiscal Year Annual Research Report
前近代東アジアにおける文書とその伝来に関する比較史的研究
Project/Area Number |
19320098
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂上 康俊 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (30162275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 弘次 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (70167419)
川本 芳昭 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (20136401)
濱田 耕策 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (40137881)
中島 楽章 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (10332850)
森平 雅彦 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (50345245)
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Keywords | 文書 / 東アジア / 伝来論 / 様式論 / 史料論 |
Research Abstract |
本年度は、本科研の最終年度に当たるため、この3年間の研究の総括と反省の上に立った国際ワークショップの開催と、前近代東アジア文書関係文献目録の作成に重点を置いた。ワークショップは「前近代東アジア公文書の比較史的研究-文書の伝来-」と題し、これまで比較的検討の薄かった伝来論を主軸に据えた報告を並べた。そのプログラムは、I劉迎勝(南京大学)「《元典章・吏部・官制・資品》考」、II伊藤幸司(山口県立大学)「朝鮮国の外交文書原本とその特徴」、III郭万平(浙江工商大学日本文化研究所)「宋代官文書的廃棄及其流向-以現存宋代公文紙印本、抄本為中心」(中島楽章代読)、IV金東哲(釜山大学)「朝鮮後期釜山倭館の東莱商人関係文書について」、V安承俊(韓国学中央研究院)「韓国古文書の知識情報化の現況と課題」であり、坂上の司会で討論され、それぞれの国による文書の残存のあり方の違いに関心が集まったが、特に中・韓においては、近代化の過程で失われたものが多いことが確認された。中国においては文革よりむしろ49年以降の土地改革の過程での地主文書の処分が大きい。一方韓国では、北部にあっては朝鮮戦争の際の損害が大きく(研究会例会における孫承〓江原大学校教授の報告)、一方釜山地域にあっては、身分、特に商人身分からの脱出の意味で自ら経営関係の文書を処分したということが語られた(研究会例会における李美蘭釜慶大学校大学院生の報告及び上記金東哲教授の報告)。これらの事例と対比させれば、日本の文書の伝存には身分関係が絡むことはこれまで殆ど問題にされたことがないことが注目される。 文書関係論文の目録化については、実質的な作業を終えているが、膨大な数の論著が公にされていることに鑑み、予定していた冊子体の報告書では無理があるため、ホーム・ページ上に公開することにした。微調整を施した後、五月末までの公開を予定している。
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Research Products
(24 results)